『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして3000件以上の取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所主宰。出版社で編集者・記者を務めたのちに独立。これまでライターとして3000件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「書かずにうまくなる段取り文章術」「論理的に伝わる文章の書き方」「好意と信頼を獲得するメール文章術」「すらすら書ける文章テンプレート活用法」等、その日から使える実践的ノウハウを提供。また、2016年より中国の5大都市で「SuperWriter養成講座」を定期開催中。

著書に『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(共に日本実業出版社)ほか多数。文章作成の本質をとらえたノウハウは言語の壁を超えて高く評価されており、中国、台湾、韓国など海外でも翻訳されている。

ビジネスメールに使える便利な表現6選

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2021/10/06 16:39

Photo by AdemAY on Unsplash

汎用性の高いフレーズを使えるようにしておこう

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仕事におけるコミュニケーションでテキスト(文章)を使う機会が増えつつあります。ふだんはあまり使わないものの、仕事のやり取りで重宝する表現や言い回しは覚えておくと、スマートに会話が進みます。

 

【便利な表現①:存じます】
△ ご多用とは思いますが、ご検討のほどよろしくお願いします。
◯ ご多用とは存じますが、ご検討のほどよろしくお願いします。

 「存じます」は、「思う」や「知る」の謙譲語「存ずる」に丁寧語の「ます」を添えた、相手を立てる敬語表現です。同僚や部下に対して使うにはやや堅苦しい表現ですが、相手が目上の人や上司、取引先であれば、丁寧で誠実な印象を与えることができます。

また、自分の意見を伝えるときにも「存じます」を重宝します。「A案がよろしいかと存じます」という具合に、へりくだりながらも、しっかりと自分の意見を伝えることできるからです。「ありがたく存じます」「光栄に存じます」のように、お礼を伝えるときにも使いやすいフレーズです。

【重宝表現②:幸いです】
△ 28日(月)までに写真データをお送り願います。
◯ 28日(月)までに写真データをお送りいただけますと幸いです。

 「幸い」は、◯◯してくれたら「(私は)嬉しい」「(私は)ありがたい」という意味です。「○○してください」とストレートな命令調で書くよりも、文面の印象が丁寧かつソフトになります。

ただし、そのソフトさゆえ、相手に対する拘束力は“ユルめ”です。期限を厳守してもらいたいときは「28日(月)までに写真データをお送りいただけますよう、何卒お願い申し上げます」と強めにお願いする必要があります。相手が目上のときは「幸いです」の代わりに「幸甚です」や「幸いに存じます」と書くのもよいでしょう。

【重宝表現③:〜したく】
△ 〜についてご確認したいと思い、ご連絡いたしました。
◯ 〜についてご確認したく、ご連絡いたしました。

 「○○したいと思います」や「○○したいため」というニュアンスの文章を書きたいときに「~したく」という表現が使えます。「〜したく」を使うと、くどくどしさが消え、スッキリと丁寧な印象を与えることができます。

なお、①でお伝えした「存じます」と組み合わせた「○○したく存じます」も、メールで使える頻出フレーズです。「アイデアをお聞かせいただきたく存じます」という具合です。

【重宝表現④:ご査収】
△ お見積書をご確認のうえお受け取り願いいたします。
◯ お見積書をご査収いただけますよう、お願いいたします。

「査収」とは「金銭や書類などをよく調べて受け取る」という意味です。相手に確認してもらいたい書類(請求書や見積書、企画書など)を送るときなどに適した表現です。

なお、こちらの都合で送る資料(自社商品の案内資料など)については「ご査収」ではなく、「お時間のあるときにご覧ください」「○○をご笑納ください」という表現を使うといいでしょう。

【重宝表現⑤:拝受/拝見/拝読/拝聴など】
△ 企画書を受け取りました。
◯ 企画書を拝受しました。

 「拝」は「謹んで」という意味を含む謙譲語。目上の人や取引先など相手に敬意を示すことができます。自分がへりくだる謙譲語ですので「拝見いただけますよう〜」や「拝聴いただけましたでしょうか」のように、相手の行為に使うのは間違いです。

ちなみに、これらの言葉に「いたす」をつけて「拝受いたしました」とするのは、ひとつの単語にふたつ以上の敬語を重ねる「二重敬語」です。しかし、実際には使用している人も多いため(習慣として定着してきているため)、もはや「誤り」と言い切れません。

【重宝表現⑥:問題ありません(ございません)】
× 大丈夫です。/結構です。
◯ 問題ございません。

 確認を求められた際、「大丈夫です/結構です」と書くと、イエスとノーのどちらなのかがわかりにくくなります。イエスの意味で使うときは「問題ない」の丁寧語である「問題ありません(ございません)」と書きましょう。

なお、「問題ございません」は「よろしいです。結構です」という許可を示す意味でも使われるので、人によっては“上から目線”と感じる人もいるようです。目上の人や取引先に「それでOK」というニュアンスを伝えたい時は「ご案内いただいた方法で進めていただけますと幸いです」のように、具体的な言葉で置き換えるようにしましょう。

以上、仕事のメールで使える便利な表現をご紹介しました。場面や相手との関係性に応じて、上手に使い分けましょう。

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そもそも文章ってどう書けばいいんですか?

「文章を書くことがストレス」「書くのに時間がかかりすぎる」「そもそも頭のなかにあることを文章にできない」……本書はそうした「文章アレルギー」のある人たちに、マンガを織り交ぜながら、わかりやすく文章の書き方をレクチャーしていきます。

著者:山口拓朗

価格:¥1,400-(税別)

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