『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして3000件以上の取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所主宰。出版社で編集者・記者を務めたのちに独立。これまでライターとして3000件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「書かずにうまくなる段取り文章術」「論理的に伝わる文章の書き方」「好意と信頼を獲得するメール文章術」「すらすら書ける文章テンプレート活用法」等、その日から使える実践的ノウハウを提供。また、2016年より中国の5大都市で「SuperWriter養成講座」を定期開催中。

著書に『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(共に日本実業出版社)ほか多数。文章作成の本質をとらえたノウハウは言語の壁を超えて高く評価されており、中国、台湾、韓国など海外でも翻訳されている。

「ダメ件名」のメールで、読まれずにゴミ箱行きを防ぐ方法

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2019/06/05 16:09

(photo by 紺色らいおん/photoAC)

一生モノのスキルになる! 『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法<連載第16回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に関する著書も多い山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は開封率を高める、メールの件名のつけ方について。

あなたが送ったそのメールは開封されていますか?

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あなたはメールの件名を書くときに、どれくらい気を配っていますか? 

メールの受信者が真っ先に確認するのがメールの件名です。件名を目にした瞬間に、誰からどのようなメールが送られてきたのかを判断します。

1日に2、3通のメールしか受信しない人であればまだしも、世の中には、1日に数十件、数百件のメールを受信する人もいます。そのような人たちのなかには、メールが送られてきた順ではなく、自身にとって優先順位が高い順にメールを開封していく人もいます。

送られてきたメールの件名が「よくわからない」「自分に関係がなさそう」「読む気になれない」「なんだかアヤシイ……」と思われた時点で、開封を後回しにされてしまうかもしれません。件名があまりにいい加減だと「迷惑メールかな?」と思われて、迷惑メールフォルダーやゴミ箱に入れられてしまうこともあります。

メール受信者に喜ばれる“親切な件名”とは?

お疲れ様です

仮にあなたが、この件名のメールを受け取ったときに、すぐに開封したいと思いますか? 

開封はおろか「もしかしたらスパムメールかも?」と不審に感じるのではないでしょうか。なかには「用件はいったい何なんだ?」と腹立たしく感じる人もいるかもしれません。

このメールが、もし本当に仕事上のやり取りのためのものだとしたら、完全にアウトです。受信者のことをまったく考えずにつけた“自分勝手な件名”といえます。

外構工事の件

この件名であれば、見た瞬間に、どんな内容のメールであるかが、ある程度わかります。少なくとも、迷惑メールと勘違いされて削除されることはないでしょう。

「お疲れ様です」の件名よりは、メールの開封率や、開封までのスピードも高まるはずです。仮に、すぐに開封してもらえなくても、メーラーの受信ボックスで「外構工事の件」という文字が見えているので、完全に忘れられてしまうことはありません。

もちろん、この件名でも、まだまだ不十分と感じる人もいるでしょう。たしかに、受信者にとって、もう少しわかりやすく、メールの中身を見渡せる件名にすることもできそうです。以下のふたつはその一例です。

外構工事の日程変更の件
港区・清水邸の外構工事の日程変更の件

もちろん、件名をどこまで具体的に書くかは、メール送信者と受信者の関係性や、メール受信者の状況(情報)把握レベルによって変わります。大事なことは、受信者が、件名を見た瞬間にパっと理解できるようになっていることです。

一瞬で何について書かれたメールであるかが理解できる件名は、受信者のメール確認作業の負担を減らす役割を担っています。つまりは、受信者に喜ばれる“親切な件名”です。

「具体的に書く」を意識して件名をつけよう

「ぼんやりとした件名」や「意味不明な件名」「あいまいな件名」は百害あって一利なしです。受信者が目にした瞬間にメールの中身を把握できる。これがベストの件名です。

× ご案内 
○ 【ご案内】ドゥートン株式会社の新製品発表会

× お礼 
○ 3月5日の講演会のお礼

× 重要 
○ 【重要】ナビーズの会員登録システムの変更

× プレゼンの件 
○ △△市起業サポート事業・プレゼン概要

「重要」「お礼」「ご確認」「ご連絡」「お願い」「ご報告」「至急」「緊急」「お知らせ」などは、具体性を欠いた“送信者都合な件名”です。どうしても、使いたいときは、「【重要】ナビーズの会員登録システムの変更」のように、メールの中身を示す具体的な言葉も添えましょう。

また、「お世話になります」「おはようございます」「お久しぶりです」「お疲れ様です」「お願いがあります」「ご相談があります」「お仕事の件」など、あいさつや簡易的な表現のみの件名、「佐藤です」「○○編集部です」のように名前や名称だけの件名も、“不親切な件名”と言わざるを得ません。十分に注意が必要です。

メールの内容を端的に示そう!

なお、用件がふたつあるときは「ラフ案のご提案と3月3日のお打ち合わせの件」という具合に、どちらも表記するようにしましょう。ただし、ふたつの用件にまったく関連性がないときや、用件の重要性がそれぞれ高いときは、別々のメールで送ったほうが混乱や誤解が生じにくくなります。

なんでもかんでもひとつのメールに盛り込むやり方は、スマートとはいえません。原則は「1メール=1用件」と心得ておきましょう。

メールの内容を端的に示す件名がついていないと、「読まれない」「返信が得られない」「相手の不信を買う」「信用を損ねてしまう」などの事態を招き、結局、送信者自身が困ることになります。たかが件名ではなく、されど件名です。いつでもメール受信者の立場に立って、件名をつけるようにしましょう。

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そもそも文章ってどう書けばいいんですか?

「文章を書くことがストレス」「書くのに時間がかかりすぎる」「そもそも頭のなかにあることを文章にできない」……本書はそうした「文章アレルギー」のある人たちに、マンガを織り交ぜながら、わかりやすく文章の書き方をレクチャーしていきます。

著者:山口拓朗

価格:¥1,400-(税別)

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