『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして3000件以上の取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所主宰。出版社で編集者・記者を務めたのちに独立。これまでライターとして3000件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「書かずにうまくなる段取り文章術」「論理的に伝わる文章の書き方」「好意と信頼を獲得するメール文章術」「すらすら書ける文章テンプレート活用法」等、その日から使える実践的ノウハウを提供。また、2016年より中国の5大都市で「SuperWriter養成講座」を定期開催中。

著書に『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(共に日本実業出版社)ほか多数。文章作成の本質をとらえたノウハウは言語の壁を超えて高く評価されており、中国、台湾、韓国など海外でも翻訳されている。

その文章はクールorソフト? 印象を左右する文体の選び方

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2018/11/07 16:26

(photo by uopicture/photoAC)

一生モノのスキルになる! 『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法<連載第9回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に関する著書も多い山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は文章の印象を変える、「文体」や「漢語・和語」の使い分けについて。

「だ・である調」と「です・ます調」の特徴とは?

日本語には「だ・である調」と「です・ます調」という2種類の文体があります。“なんとなく”で文体を選んでいる人も多いかもしれませんが、それだと、文体の強みを最大限に活かすことができません。それぞれの特徴を理解したうえで、適切に使い分けることが大切です。

【だ・である調】

硬い印象/簡潔/読む人との心理的距離が遠い/重みがある/批評や論文、実務文などに適している/語尾のバリエーションが豊富 
※「~考える」「といえる」「~だった」「~ない」「〜する」「~らしい」「~できる」など。「〜を行う」のように言い切りもできる。

【です・ます調】

やわらかい印象/読む人との心理的距離が近い/親しみやすい/手紙やメール、お客様や子ども向けの文章に適している/語尾のバリエーションが少ない 
※「~せん」「~しょう」「~ください」など

「だ・である調」と「です・ます調」では印象がまったく違う!

どちらの文体にも一長一短があります。両者を織り交ぜる書き方もあいますが、一般的には、「だ・である調」か「です・ます調」のどちらかに統一するのがセオリーです。TPOをわきまえて、文体を選ぶようにしましょう。

【原文】
「歩きスマホ」は看過することができない問題だ。つまずいて転ぶ危険性もありますし、他人とぶつかる恐れもある。階段や駅のホームなどであれば、足を踏み外してしまうかもしれません。「歩きスマホ」をしている人は、自分や他人に危害を加える“悪質行為”をしていることを自覚すべきだ

【修正文1(だ・である調で統一)】
「歩きスマホ」は看過することができない問題だ。つまずいて転ぶ危険性もあれば、他人とぶつかる恐れもある。階段や駅のホームなどであれば、足を踏み外してしまうかもしれない。「歩きスマホ」をしている人は、自分や他人に危害を加える“悪質行為”をしていることを自覚すべきだ

【修正文2(です・ます調で統一)】
「歩きスマホ」は看過することができない問題です。つまずいて転ぶ危険性もありますし、他人とぶつかる恐れもあります。階段や駅のホームなどであれば、足を踏み外してしまうかもしれません。「歩きスマホ」をしている人は、自分や他人に危害を加える“悪質行為”をしていることを自覚すべきです

原文は「だ・である調」と「です・ます調」が混在しています。リズムが悪いうえ、どことなく締まりがなく“ふらふらした印象”を受けます。「だ・である調」で統一した修正文1や、「です・ます調」で統一した修正文2のほうが、文章としての一貫性が感じられます。

修正文1と2のどちらが適しているかは、その文章の用途や狙いを含むTPO次第です。たとえば、厳しいメッセージを突きつけたいなら修正文1、ソフトに受け止めてもらいたいなら修正文2が適切、といった具合です。

【だ・である調】
この週末は、久しぶりに箱根へドライブに行った。天気にも恵まれて気分爽快だった。また明日から頑張れそうだ

【です・ます調】
この週末は、久しぶりに箱根へドライブに行きました。天気にも恵まれて気分爽快でした。また明日から頑張れそうです

前者はクールな印象、後者はソフトな印象を受けます。おそらくプライベートで書いた文章でしょうから、どちらの文体を選ぶかは書き手の判断ひとつです。読者から心理的距離を置いてクールな雰囲気を醸したいなら「だ・である調」、読者との心理的距離を狭めて親しみを出したいなら「です・ます調」がおすすめです。

「漢語」と「和語」の違いって何?

日本語には「和語(やまとことば)」と「漢語」があります。和語はもともと日本にあった言葉で、漢語は中国から入ってきた「外来語」です(訓読みは和語、音読みの熟語は漢語のケースが多い)。

【漢語】

重厚でかしこまった印象/簡潔になる(印象が冷たくなることもある)/論文などのあらたまった文章に適している

【和語(やまとことば)】

やわらかくやさしい印象/表現が豊かになる(冗長になることもある)/親しみを出したいメールやSNSの投稿など文章に適している

文体同様、漢語と和語も、TPOをわきまえて選びます。漢語ばかりで堅苦しくなりそうな気がしたら和語を挟む。あるいは、和語ばかりで砕けすぎになりそうな気がしたら和語を挟むなど、文章全体のバランスを見ながら書き分けられるのが理想です。

【例文1(漢語を多用)】
キャスターが破損したため、キャリーケースが開閉不全となった。修復不能場合、今日中に新品のキャリーケースを購入する必要がある。

【例文2(和語を多用)】
キャスターが壊れたため、キャリーケースの開け閉めができなくなりました。直せないとしたら、今日中に新しいキャリーケースを買わなければいけません

例文1は漢語を中心に書き、例文2は和語を中心に書きました。漢語と和語の特性に合わせて、文体も、例文1には「だ・である調」、例文2には「です・ます調」を組み合わせました。「漢語+だ・である調」「和語+です・ます調」は、それぞれ親和性が高い組み合わせです。

「二次熟語+する」の使い方にも注意しよう

なお、日本語では漢語の「二字熟語」に「〜する」を組み合わせた言葉がよく使われます(例:予防する)。「二字熟語+する」は、かしこまった形式のビジネス文章や公文書には適していますが、ソフトな雰囲気を演出したい文章には適していません。“硬すぎる”と感じたときは、言い換えを検討しましょう。

【「二次熟語+する」の言い換え例】
◆作成する → 作る
◆考察する → 考える 
◆決定する → 決める
◆活用する → 使う 
◆確認する → 確かめる 
◆分割する → 分ける 
◆調査する → 調べる 
◆雇用する → 雇う 
◆軽減する → 減らす 
◆終了する → 終わる 
◆行使する → 行う 
◆比較する → 比べる 

上記は一例です。このように二次熟語のうちどちらか一方の漢字を使って言い換えできるケースが少なくありません。あなたの文章は、読む人にどんな印象をもたれていますか? 文体(「だ・である調」or「です・ます調」)の使い分け同様に、「漢語」と「和語」の使い分けセンスにも磨きをかけていきましょう。

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そもそも文章ってどう書けばいいんですか?

「文章を書くことがストレス」「書くのに時間がかかりすぎる」「そもそも頭のなかにあることを文章にできない」……本書はそうした「文章アレルギー」のある人たちに、マンガを織り交ぜながら、わかりやすく文章の書き方をレクチャーしていきます。

著者:山口拓朗

価格:¥1,400-(税別)

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