『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして3000件以上の取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所主宰。出版社で編集者・記者を務めたのちに独立。これまでライターとして3000件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「書かずにうまくなる段取り文章術」「論理的に伝わる文章の書き方」「好意と信頼を獲得するメール文章術」「すらすら書ける文章テンプレート活用法」等、その日から使える実践的ノウハウを提供。また、2016年より中国の5大都市で「SuperWriter養成講座」を定期開催中。

著書に『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(共に日本実業出版社)ほか多数。文章作成の本質をとらえたノウハウは言語の壁を超えて高く評価されており、中国、台湾、韓国など海外でも翻訳されている。

気軽すぎる文面は命取り! 失礼と思われないためのメール文章術

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2019/04/03 16:58

(photo by シルバーブレット/photoAC)

一生モノのスキルになる! 『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法<連載第14回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に関する著書も多い山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は仕事のメールにおけるNG文面について。

プライベートの「気軽さ」を仕事に持ち込むのはキケン

この連載の一覧はこちら

SNSを使って誰もが気軽に投稿できる時代。また、チャットアプリを使って家族や友人と気軽にやり取りできる時代。インターネットと情報端末(スマホなど)の充実によって、私たちが文章を書く機会は確実に増えました。

一方で、その「気軽さ」が災いして、仕事で使うメールにも「軽々しい表現」を使ってしまう人が少なくありません。

「言葉の乱れは心の乱れ」などと説教臭いことを言うつもりはありません。しかし、ビジネスシーンでは、最低限、そのメールを受け取った相手に「なれなれしい」「失礼だ」「マナー知らず」と思われない言葉遣いや表現を心がける必要があります。

「軽々しいメール文面」の実例集

「軽々しい表現」の多くは、カジュアルなプライベートシーンで使われる「話し言葉」です。また、なかには明らかな「言葉の乱れ」や、ネット上で飛び交う「スラング」も含まれています。悪気なく使った言葉によって、あなた自身の信用が低下することも考えられますので、習慣的に使っている言葉があれば、注意が必要です。

【気軽すぎる】なるはやでお願いします。
【改 善 例】なるべく早めにお願いします。/明日(13日)の17時までにお願いします。

【気軽すぎる】それとは真逆の見解です。
【改 善 例】それとは正反対の見解です。

【気軽すぎる】コピーしときました。
【改 善 例】コピーしておきました。

【気軽すぎる】ときたまミスが起きます。
【改 善 例】ときどきミスが起きます。

【気軽すぎる】もうちょっとで確定します。
【改 善 例】間もなく確定します。

【気軽すぎる】さっきは失礼いたしました。
【改 善 例】先ほどは失礼いたしました。

【気軽すぎる】ビンテージ品なんかもあります。
【改 善 例】ビンテージ品などもあります。

【気軽すぎる】やっと完成しました。
【改 善 例】ようやく完成しました。

【気軽すぎる】山本さんは、私の3上です。
【改 善 例】山本さんは、私の3つ上です。/山本さんは、私より3歳年上です。

【気軽すぎる】失敗ばっかりくり返しています。
【改 善 例】失敗ばかりくり返しています。

【気軽すぎる】いろんな機能があります。
【改 善 例】いろいろな機能があります。/さまざまな機能があります。

【気軽すぎる】規則じゃありません。
【改 善 例】規則ではありません。

このような話し言葉をうっかり使っていませんか? もう少しあげてみましょう。

【気軽すぎる】進めちゃってください。
【改 善 例】進めてください。

【気軽すぎる】注文しなきゃならないので〜
【改 善 例】注文しなくてはいけないので〜

【気軽すぎる】なるほどですね
【改 善 例】おっしゃる通りです。

【気軽すぎる】ちょっと遅れるかもしれません。
【改 善 例】少し遅れるかもしれません。/少々遅れるかもしれません。

【気軽すぎる】この方向性でいきたいですが〜
【改 善 例】この方向性でいきたいのですが〜

【気軽すぎる】こっちの案で進めておきます。
【改 善 例】こちらの案で進めておきます。

【気軽すぎる】こんな内容です。
【改 善 例】このような内容です。

【気軽すぎる】あんまり人気がありません。
【改 善 例】あまり人気がありません。

【気軽すぎる】ふつうにいいアイデアだと思います。
【改 善 例】いいアイデアだと思います。/お世辞抜きにいいアイデアだと思います。/意外といいアイデアだと思います。

【気軽すぎる】弊誌で取り上げることはないです
【改 善 例】弊誌で取り上げることはありません。

【気軽すぎる】私的には賛成です。
【改 善 例】私は賛成です。

【気軽すぎる】いっぱいご意見をいただきました。
【改 善 例】多くのご意見をいただきました。/たくさんのご意見をいただきました。

【気軽すぎる】たぶん変更ないでしょう。
【改 善 例】おそらく変更はないでしょう。

【気軽すぎる】がっつり話し合いましょう。
【改 善 例】しっかり話し合いましょう。

親密さと軽々しさは紙一重と忘れない

いかがでしたか? 知らず知らずのうちに、メールの中で使っていたという人も多いのではないでしょうか。

もっとも、以上のような文面のすべてを否定するわけではありません。言葉や表現の良し悪しは、相手との関係性や親密度によっても変化するものだからです。

たとえば、メールを送る相手が気心の知れた社内の同僚であれば、許される言葉や表現もあるでしょう。同期入社で5年も一緒にいるのに、いつでもバカ丁寧な敬語のメールを送りつけるのは、それはそれでコミュニケーション不全といえるかもしれません(相手がそのコミュニケーションを望んでいるなら別ですが)。

いずれにしても、上司や取引先、お客様相手のメールで「軽々しすぎるメール」を書くのは禁物です。場合によっては、あなたの信用を落とすだけではなく、会社のメンツも潰しかねません。とりわけ注意すべきは「話し言葉」「乱れた言葉」「スラング」の3点です。友人と気軽にチャットをするノリで仕事のメールを書いてしまわないよう十分に注意しましょう。

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そもそも文章ってどう書けばいいんですか?

「文章を書くことがストレス」「書くのに時間がかかりすぎる」「そもそも頭のなかにあることを文章にできない」……本書はそうした「文章アレルギー」のある人たちに、マンガを織り交ぜながら、わかりやすく文章の書き方をレクチャーしていきます。

著者:山口拓朗

価格:¥1,400-(税別)

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