人にもよりますが、今の時代新卒から定年までずっと同じ企業で働く人というのはまれです。従来型の企業年金制度(確定給付年金、厚生年金基金など)を用いている会社を退職する場合、自動的にそれらの年金制度からも脱退しなければならず、受取額などで著しく不利になることがほとんどです。

これは、もともと、こうした企業年金は、長く勤める程に有利となる仕組みになっているからで、日本の企業年金では、かなり極端な長期勤続者優遇が認められてきた。筆者は、この状況は何よりもアンフェアであり、人材の流動化を阻害する点で好ましくないと考えているが、こうした差別的な不自由がまだ存在するのが確定拠出年金以外の企業年金の現実だ。

2005年の法改正により、「法律上」は、退職して企業年金を脱退しても、自分の年金資産を持ち運べることにはなっている(ポータビリティ制度)。しかし、転職先の会社の制度や年金基金で年金資産の受け入れを認めていないケースが多く、殆ど普及していないのが現実だ。

その場合、これまでに積み立ててきた掛け金の一部を脱退一時金として受け取ることができたらいい方で、在籍期間によっては没収されて何も残らないというケースもある。事実、在籍期間が3年未満の場合は没収すると、予め定めている企業が多い。

脱退一時金にしても、これまでの掛け金やまして運用益部分を全額受け取ることが出来る訳ではなく、また老後の年金には一切反映されなくなってしまうなど、明らかに不利となることが多い。

(『確定拠出年金の教科書』P.25より)

なお、転職先の企業で確定拠出年金制度を導入しているか否かで、適切な持ち運び方や必要な手続きは異なりますが、いずれにせよ従来の企業年金制度よりも転職には有利に働きます。

なぜ、リボ払いは身の破滅につながりやすいのか

お金にまつわる話の最後は「リボ払い(リボルビング払い)」についてです。近年(とりわけ2010年代以降)クレジットカードを作ると支払いの初期設定がリボ払いになっていたり、各カード会社が高いポイント還元率をうたって「リボ払い専用カード」の作成を勧誘するケースがあります。

一方でリボ払いにはトラブルが多発しており、それが元で自己破産に陥る人も増加しています。ここでは不用意にお金を減らさないための、リボ払いの基礎知識と注意点を簡単に解説します。

リボ払いとはなにか、分割払いとどう違うのか

リボ払いと分割払いの主な違いは以下のようになります。

  リボ払い 分割払い
月々の
支払額
固定+手数料
(残高スライド方式などの場合は異なる)
商品ごとに指定した分割回数に応じて決定。複数ある場合はそれを合算
分割手数料
(金利)
・支払額に関係なく固定(大体15%)
返済残高全体に対してかかる
・分割回数などによって変動
・商品単体に対してかかる
特徴 返済計画は立てやすいが、支払額の設定次第では返済総額が大幅に膨れ上がる 複数の買い物をした場合、それぞれの分割回数に応じた返済額が加算されるため、慎重に使う必要がある

※一部のカード会社で異なる場合もあり/「一般社団法人 日本クレジット協会」の情報をもとに作成

表中にあるように、リボ払いは返済計画を立てやすい一方で金利が返済残高全体に対してかかるため、支払額の設定次第では返済総額が大幅に膨れ上がることがあります。仮に50万円をリボ払いで返済する場合をシミュレートとすると、結果は以下のようになります。

元金定額方式・手数料率15%として設定(参考:日本クレジットカード協会)
月々の支払額(手数料除く) 支払総額 うち手数料
5,000円 809,472円 309,472円
10,000円 653,243円 153,243円
20,000円 575,128円 75,128円

また、リボ払いは月々の支払額が固定のため返済に対する意識が薄くなりやすい側面もあります。そうなると返済の元金(=購入総額)が膨らみやすく、手数料で延々と絞りとられる「無間返済地獄」へと簡単に陥ることになります。リボ払いの使用には細心の注意が必要といえるでしょう。


新入社員および就活生に向けた「仕事や生活に役立つワンポイント解説」の短期集中連載は以上です。各回で紹介している書籍には、各項目に関する役立つ知識が記事以上にわかりやすく掲載されていますので、ぜひお手に取ってみてください。