主に新入社員・就活生向けに役立つ本をテーマ別で紹介している短期連載、最終回は「お金」について。最近は「高い給料より休みが欲しい」などお金に関する考え方も多様化していますが、増やせるものなら増やしたいはず。とはいえ、現在働いている世代からすると

  • 銀行の金利はもう何年も0%近辺で推移してるので、預けても増えない
  • ただでさえ少ない給料が、上がる一方の社会保険料に吸い上げられ、手取りがほとんど残らない

という現実があり、若い人にとっては「明るい未来なんて描けやしない」というのが正直な実感でしょう。

そこで「手元のお金を増やすための資産運用・利殖の知識」「お金を不用意に減らさないためのリボ払いの知識」など、お金にまつわる基本を学んでみましょう(各書影をクリックすると、Amazonに遷移します)。

過去のテーマはこちら

1000円台からでも投資可能! メリットが多い株式投資の基本

『日経平均の読み方・使い方・儲け方』(阿部智沙子 著)

「株なんてまとまった金が用意できなきゃ買えないじゃん」――株投資に対する若い人の意見でよく耳にしますが、これは半分は正しく、半分は間違っています。詳しく見てみましょう。

株式購入の基本は単元単位。でも、それ以外の方法もある

トヨタ自動車の株を例に説明しましょう。一番上にはこの図をキャプチャした時点におけるトヨタ自動車の株価(7,397円)が、画像の右下には「最低購入代金739,700、単元株数100」とあります。このうち、単元株数とは「実際の売買の基準となる1単元が何株で構成されるのか」を意味しており、トヨタの場合は1単元=100株となっていますが、銘柄によっては1単元=1000株の場合もあります。

(画像はYahoo!ファイナンスよりキャプチャしたもの)

つまり、この時点でのトヨタ自動車の株は「株価(=1株当たりの値段)は7,397円だが、実際に買うには1単元(=100株分)の739,700円が必要(証券会社に支払う手数料は除く)」となっています。これが前述の「まとまった額を用意できなければ買えない」という意見の「半分正しい」部分です。

では、残りの半分はどこが間違っているのか。それぞれ見てみましょう。

ミニ株(単元未満株)

さきほど「株の売買は単元単位」で行われると説明しましたが、国内の証券市場活性化を目的として定められた「株式ミニ投資制度」というものが存在します。

これは単元に満たない株数でも個別銘柄(=個々の企業の株式)を取引できる制度で、各証券会社ごとに異なる取引条件や対象銘柄が定められたうえで、サービスが展開されています(その際「S株」「プチ株」などと違う名前になっていることがあります)。最大で1株単位の売買ができる証券会社もありますので、銘柄によっては数百円~数千円台の元手で投資を始めることができます。

ETF(上場投資信託)

もう一つの選択肢がETF(上場投資信託)です。ETFは業績や材料に応じて価格が上下する個別銘柄と違い、日経平均やTOPIXなど国内外の株価指数に連動して価格が上下する金融商品です。とはいえ、証券会社を通じて株式市場で売買されるものなので、運用感覚自体は個別企業の株式とほとんど変わりありません(日経平均やTOPIXの解説については、下記ツイートの記事で行われています)。