ここでケーススタディを見てみましょう。下は数あるETFの一つ「(NEXT FUNDS)日経平均レバレッジ上場投信(1570.T)」の6/12の終値(=1日の取引が終わった後の株価)で、20,930円となっています。そして右半分には直近5営業日の株価の推移を示したチャートが描かれており、チャートの左端、つまり6/6の始値(1日の取引開始時の株価)は20,280円です。

(画像はYahoo!ファイナンスよりキャプチャしたもの)

このETFは1株単位で取引が可能ですので、仮に6/6の始値で1株買って6/12の終値で売ったとすると、差し引きの儲けは20930-20280=650円(取引手数料は考慮せず)になります。

一方、20,280円を同じ期間銀行の普通預金口座に預けたとしても、金利が0.001%(18年6月時点)である以上、利子は1円すらつきません(もう少し金利がつく定期預金でも、似たような結果となります)。この両者を比較してもお金を殖やしたいのであれば、銀行に預けるよりも投資に回す方が圧倒的に有利だといえるでしょう。

また、株式投資は元本が減るリスクがありますが、現物取引と呼ばれる形態であれば無期限に保有できます。「ある株を買う→翌月には株価が半分になった→1年放置してたら買値以上になっていたので売却&利益確保」ということもありえます。そのほかにも「NISA(少額投資非課税制度)」および「つみたてNISA」など、投資した際に税金面での優遇措置が受けられる制度などもあります。

投資で効率的に儲ける&損をしないためにはある程度の勉強は必要ですが、それを通じて金融・会計など仕事にも活かせる知識も身につきます。当初の目的である「銀行預金よりは圧倒的にリターンが得られる可能性が高い」というメリットと合わせて考えると、株式投資を始めてみる価値は十二分にあるでしょう。

転職が当たり前の時代に有利な「確定拠出年金制度(通称:401k)」

『確定拠出年金の教科書』(山崎元 著)

「2020年に2万社」という政府目標を大きく上回るペースで企業が導入しているほか、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」のCMなど、最近耳にする機会が増えている確定拠出年金。こちらは「今の手取りを増やす」というよりは、将来の備えとして行う資産運用です。

上記のiDeCoと企業型確定拠出年金(DC)を総称した「確定拠出年金制度」と、企業年金制度の詳細な違いは下記ツイートの記事にありますが、まとめとしては以下のようになります。

  確定拠出年金制度 企業年金制度
何が確定してる? 拠出額(掛け金) 給付額(将来の受給額)
運用主体 加入者 企業
運用のしくみ 掛け金が決まっており、運用成績次第で給付額が上下 給付額が決まっており、年金数理計算によって掛け金が上下
メリット
  • 税制面の優遇が大きい
  • 定年以外の転退職によって不利を被ることがない
  • 受給権が確保される
  • 運用リスクを負わない
  • 給付額が決まっているので、老後の生活設計がしやすい
デメリット
  • 運用成果は自己責任
  • 原則的に60歳まで引き出しや中途脱退が不可
  • 企業業績などの影響を受けるため受給権が不安定
  • 転退職時に資産を持っていくことができない

ここで注目すべきは、確定拠出年金制度のメリット欄にある「税制面の優遇が大きい」「定年以外の転退職によって不利を被ることがない」の2つです。税制面では主に以下のような優遇があり、その分はほぼ確実にトクすると言えます。

  • 掛け金が全額非課税なので、所得税・住民税が減る
    (企業型は加入者が拠出した掛け金について非課税)
  • 運用中の利益にかかる税金も非課税
  • 老後に受け取るときにも税金の控除がある

そして、もう一つが若い人にとって最大のメリット「転職しても不利にならない」です。