いまでこそ日本の個人金融資産は非常に潤沢だが、人口の高齢化が進むにつれて、この蓄えは徐々に目減りしていく。歳をとれば、誰もが若いころのようには働けなくなるので、それまで蓄えた預貯金を取り崩して生活費に充てるしかない。大勢の高齢者が似たような行動をとるようになれば、それだけ個人金融資産の減り方も加速していくことになる。

相場の長期予測において、「時期と水準」を断言するスタイルに定評のある若林氏
相場の長期予測において、「時期と水準」を断言するスタイルに定評のある若林氏

ちなみに個人金融資産全体のうち約60%が、60代以上に偏在している。今後10年を考えてみても、年齢別の人口構成がもう一段上がれば、個人金融資産はさらに減少傾向をたどっていくだろう。

そうなると、困るのが日本の財務省だ。預貯金が取り崩され続けると、銀行には財務省が発行した国債を引き受けるだけの資金的余裕がなくなる。国債発行による資金調達が困難になれば、国家財政は一大危機に見舞われる。

当然、日銀の国債買入についても、銀行が預金を通じて引き受けたものを日銀が買い入れるという、いまのしくみが目詰まりを起こしてしまう。それを解決するためには、日銀が直接、財務省発行の国債を買えばいいということになる。

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若林栄四(わかばやし・えいし)

1966年京都大学法学部卒業。東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。同行シンガポール支店為替課長、本店為替資金部課長、ニューヨーク支店次長を経て、1987年、勧角証券(アメリカ)執行副社長。1996年末退職。現在、米国(ニューヨーク)に在住。日本では外国為替コンサルタント会社である(株)ワカバヤシFXアソシエイツの代表取締役を務める。

歴史観に裏づけされた洞察力から生み出される相場大局観で、国内外の機関投資家、個人投資家に絶大な人気を誇る。『覚醒する大円高』『富の不均衡バブル』『不連続の日本経済』(いずれも日本実業出版社)、『異次元経済 金利0の世界』(集英社)などの著書がある。