2016年1月29日、日本銀行(以下、日銀)は金融政策決定会合にて新たな金融緩和策を決定しました。そして、その項目のひとつに「マイナス金利の導入」というものがあります。
これを見て「えっ、銀行にお金を預けてたら預金が減っていくの!?」と思った人もいるでしょう。実際のところ、今回のマイナス金利は「銀行と銀行の間」でお金をやり取りする際の金利をマイナスにするということであり、個人が銀行に預けているお金が減っていくわけではありません。
とはいえ「じゃ、どこの金利のことなの?」「自分たちの生活にどういう影響がでるの?」など気になることもあります。そこで、マイナス金利をとっかかりとして、日銀の役割について見てみましょう。銀行と日銀の違い
みなさんがイメージする「銀行の役割」というと、だいたい以下のようなものだと思います。
個人客に対する銀行の役割
- お金を移動する(決済サービス)
- お金を貯める・増やす(貯蓄・投資)
- お金を借りる(ローン)
- 将来に備える(保険)
企業・法人に対する銀行の役割
- 資金の決済(取引や、従業員への給与支払いなど)
- 資金の借入(融資など)
- 資金の運用
- その他の事業に役立つサービス(海外進出アドバイスなど)
しかし、これはあくまでも民間の銀行の役目で、日銀の役割は少々異なります。
たとえば、みなさんが「日銀に預金したい」と思ってお金を持って行ったとしましょう。でも、日銀はお金を受けとってはくれません。
それは、日銀の民間の銀行のように預金を運用し、収益を追求するのを目的とせず、モノやサービスと貨幣を交換するための金融環境を作成し、健全な経済発展を促すことを目的としているからです。
日本銀行は「日本銀行法」という法律に基づき、政府55%・民間45%の割合で出資、設立された認可法人です。そのため、民間の銀行のように株主総会で経営方針を決定することもありません。
日銀の出資者は経営に参加することはできず、「政策委員会」(日銀総裁や有識者からなる審議員など9名)で日銀の重要事項を決めていきます。今回のような金融緩和やマイナス金利導入の決定も、こうした審議員が集まる場で審議され、決定されています。
マイナス金利と「銀行の銀行」
さて、今回の日銀の発表内容のうち「マイナス金利」という言葉が取りざたされていますが、一体どこの金利がマイナスになるのでしょうか。それを説明するには、「銀行と日銀の関係性」を理解する必要があります。