ビジネスパーソンが、仕事を効率化して早起き習慣を身につけるためにまずやらなければならないこと。それは、とにかく帰る時間、退社する時間を決めて、それを必ず守る、ということです。

退社時間を決めて、守る!

「仕事が終わらないから帰れません!」という声も聞こえてきますが、終わろうが終わらなかろうが、自分で自分に強制力を発揮して、退社時間を19時半と決めたら必ず19時半に退社する。ここは無理をしてでもとにかく帰る。そうして作った時間を、自分のやりたいことにあて、早く寝る。忙しいからといって「きょうは仕方がない」「きょうは例外」とやっていると、習慣は変えられません。

『マンガでわかる「やめる」習慣』(古川武士著/みつく作画)
『マンガでわかる「やめる」習慣』(古川武士著/みつく作画)

そうすると、それまでたとえば22時まで仕事をしていた人は、仕事ができる時間が圧縮されるわけですから、仕事のプロセスやペースを変えざるを得なくなります。また、帰る時間が決まっていれば、重要な仕事やその日に提出しなければならない仕事は、午後や夕方にやっていたのでは間に合わないので、早い時間から着手するようになる。同時に、余計な仕事を削ったり、必ずしも自分がやらなくてもいいことは誰かに任せたりする。集中の度合いも高まります。こうして仕事の高密度化がはじまるのです。

それでも、どうしても仕事があふれてしまう場合もあります。そのときは思い切って、翌朝の自分に仕事をパスしましょう。

重要な仕事を朝やるようになる

朝残業はOKということにしておきます。最初はなんとかがんばって、いつもより30分でいいから早く起きて出社して、仕事を始めます。始業後よりも上司や同僚が少なく、電話も鳴らないオフィスでの仕事は快適です。一番仕事がしやすいのは、突発的に仕事が入ったりせず、顧客対応に時間をとられることもない始業前だということにあらためて気がつくでしょう。

また、よく寝て起きた朝は、集中力のエネルギー源が満タンの状態ですから、頭が冴え、仕事の進み方が違います。このことを実感すると、重要で頭を使う仕事ほど、早朝に着手したくなります。

これをしばらく続けることができれば、早起き、早朝出社のメリットを体感できます。通勤電車は空いている、仕事がはかどる、そしてなによりも、達成感とともに1日を始められる。定着すればするほど、以前の「ギリギリタイム」に戻りたくなくなります。

仕事に余裕が出てきたら、勉強や趣味に朝の時間を使うこともでき、また違った充実感を得ることも可能です。

すべては、退社時間を決める、帰る時間にコミットする。ここからはじまるのです。

1日の主導権を早起きで握ろう

生活習慣を変えようと思うとき、そのモチベーションを維持するには、危機感、快感、期待感の3つが必要です。早起きすることによるベネフィット(利益)を認識して、そうしたいと思うこと。これが期待感です。快感は、空いた通勤電車で本も読める、勉強もできる、達成感も味わえる、こうしたことで感じることができるでしょう。

そして、危機感も必要です。早起き習慣を続けるために危機感を持って守ること、それが退社時間です。ここを徹底して守ることができれば、仕事を高密度化でき、早起きの習慣化につながるでしょう。

口で言うのは簡単だけど実践は難しそう、と感じる人も、まずは1週間続けることから始めてみましょう。早起きのメリットや快感を、理屈ではなく体で感じるために。きっとその快感を手放したくなくなるはずです。

早起きは、「1日の主導権を握る」ことです。会社が9時始業だから7時半に起きなければいけない、というのは、いわば会社に起こされている受動的な状態。対して、意図をもって早起きしてスタートする1日は能動的です。その違いは、1日のサイクルに大きな影響を与えます。そして、その積み重ねが、「人生の主導権」を握っている実感と自己肯定感につながり、自分を大きく変えるきっかけになるかもしれません。

早起き習慣を身につけたかったら、まずは退社時間を決めることからはじめてみませんか?

(次回は8月8日月曜日公開予定)


 プロフィール

古川武士(ふるかわ たけし)

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習慣化コンサルティング株式会社、代表取締役。関西大学卒業後、日立製作所などを経て2006年に独立。3万人のビジネスパーソンの育成と500名の個人コンサルティングの現場から「習慣化」が最も重要なテーマと考え、日本で唯一の習慣化をテーマにしたコンサルティング会社を設立。オリジナルの習慣化理論・技術を元に、個人向け習慣化専門学校、講座、企業への行動変容・習慣化の指導を行っている。

主な著書に、『30日で人生を変える「続ける」習慣』『新しい自分に生まれ変わる「やめる」習慣』『マンガでわかる 「続ける」習慣』『マンガでわかる「やめる」習慣』(以上、日本実業出版社)、『「早起き」の技術』(大和書房)などがあり、中国・韓国・台湾でも広く翻訳されている。