とはいえ、すぐバレることを言って何度も合意を破棄したり、相手の気分を著しく害する物言いは確実に自分の首を絞めることになります。相手の気分を害するようなウソとして以下のようなものがあります。

  1. 先延ばしにする
  2. 核心の部分もウソをつく
  3. 相手を攻撃する
  4. 言い訳を重ねる
  5. 必要以上に予防線を張る
  6. 「言い訳ではない」と主張する
  7. あいまいな言葉を使う

(『困ったときの「モノの言い方」言い換え辞典』P.30より)

このうち、少しわかりにくいと思われる「2.核心の部分もウソをつく」の説明を見てみましょう。

「少しの誇張・少しのウソも、本書では言い訳と呼ぶ」と定義づけましたが、「YES」か「NO」かなど、話の核となる部分はウソをついてはいけません。たとえば、上司から取引先に電話をするよう言われていたのに、かけ忘れていた場合。

  1. 電話したのですが、留守でした。 もう一度かけてみます。
    核心の部分がウソ
  2. 後回しにしていたら忘れてしまいました。
    事実
  3. すみません、他の仕事が終わらず……。すぐにかけます!
    核心の部分以外がウソ

1がやってはいけない言い訳です。電話したかどうか、先方に確認すればすぐにばれてしまいますし、一回だけならまだしも、このようなことが重なれば、当然相手も不審に思うでしょう。

2はウソのない事実ですが、ビジネスシーンでは正直が一番とは限らないとお話しした通りです。これでは「後回しにしたのか」と相手を怒らせてしまう可能性もあります。

3はすべてが真実ではありませんが、核心部分(=電話をしていないという点)ではウソをついていません。本書ではこのようなフレーズを、効果的な言い訳として紹介していきます。

ここで注意しなければならないのが、原因説明や自分の見解といった「言い訳」もなく、謝罪し続けることです。

たとえば、「すみません、すみません」ばかり繰り返す人をあなたが怒る立場だったとしたら、「謝ればいいと思ってない?」「口先だけで反省していない」「まるでガミガミ言う私が悪者みたいじゃないか」と、気分を害するのではないでしょうか。

「言い訳」だけなのは論外ですが、「謝罪」だけでも、できるビジネスパーソンの対応とは言えません。ぜひ、両者のバランスを考えながら使ってください。

(『困ったときの「モノの言い方」言い換え辞典』P.32-33より)

言い訳以外でも、このような「上手なモノの言い方=言い換え方」のスキルは役立ちます。「締め切りを過ぎている相手に、早急な対応をしてもらう」ための連絡をするときを例に考えてみましょう。

こちらがお金を払うなど、相対的に強い立場ならば「締め切りを過ぎておりますので、すぐにご対応ください」という事務的なメールでも問題はないでしょう。段階によっては「至急対応いただけますよう、お願いいたします」と、少しプレッシャーを与える書き方をすることさえあります。

しかし、こちらがお金をもらう側のとき、あるいは依頼主はこちらだけど相手が著名人のときなど「気分を害されては後々こちらが困る」といった場合は、もう少し下手に出た書き方をしなければなりません。「ご多用中のところ恐縮ではございますが、早急にご対応いただけますよう、お願い申し上げます」など、うまく書き換える必要があります。

ここで挙げた2冊は言い訳でもお願いでも、およそ「大人らしい言葉への変換」にとても役立つ辞典となっています。会社の机の上に置いておき事あるごとに参照すれば、あなたのボキャブラリーは飛躍的に伸びていくはずです。


今回は「伝える」をテーマに、役立つ書籍を4冊ご紹介しました。これらのスキルは、プライベートで頼みごとをするときなど、仕事以外でも役立つ本です。是非、参照してみてください。