ではどうする?

こうしたケースの対応としては「記録(録音・録画etc.)を残す」ことを明言するのにつきます。ただ、このときは「後々訴訟になった場合の備えとして残す」という姿勢ではなく、「あくまで顧客のために残す」という姿勢を見せるのがベターです。では、解説を見てみましょう。

後に「言った、言ってない。やった、やってない」を残さないためには、録音や録画をとる必要もあります。

とはいえ、「後でどうのこうのと言われては困るので、この場面をビデオにとらせていただけますか」などという表現では、「なに、録画。そちらの逃げで言ってるのか。ふざけんじゃない」となるでしょう。

「私どもが間違えてお伺いをしてご迷惑をおかけしてはいけませんので、この場面を録音させていただいてもよろしいでしょうか」とすると、どうでしょう。この際の「お願い」の理由も「お客様のため」にすることです。

『一番つかえるクレーム対応のやり方がわかる本』(田中義樹 著) p.108-109より

「それは応じかねます」

 ⇒「そんなの知ったことか。譲れんのはこっちも同じだ」……となるのでNG

「 悪質なクレームには毅然とした対応を」とはよく言いますが、「応じません」とキッパリ言ってすんありと引き下がるような相手であれば、そもそも最初から悪質なクレームをよこしません。

また、「今回限り・特例」といった「あくまで限定的な対処」であることを強調したうえで応じることにも意味はありません。

後日同じようなシチュエーションを作って「前回は対応してくれただろ」と言ってくるのが関の山ですし、もっと悪質な例として「知り合いは対応してもらえたと聞いたぞ。なんでこっちは無理なんだよ」というケースも考えられます。

こういった場合は、組織的に統一した対応をとるしかありません。

ではどうする?

こうした場合は「今後の利用を断る」、これにつきます。

あまりにもしつこく、かつ悪質な場合には、はっきりと利用をお断りする必要もあります。

「大田様、よろしいですか。大田様には、私どもの意向を受け入れていただけるものと思っておりましたが、大変残念でございます。そこでですが、今後私どもの施設のご利用につきましては、こちらからお断りをさせていただきます。よろしいでしょうか」と言ってまとめることも必要です。

ただ、公共性の高いサービスにはそれが不可能な場合もあります。その場合には根気強く説得をする必要があります。

『一番つかえるクレーム対応のやり方がわかる本』(田中義樹 著) p.110-111より

 そして最終手段

言葉だけであればどうにでもなりますが、近年クレーム行動にもエスカレートが見られます。冒頭でも軽く触れましたが、「店員に土下座を強要した顧客を逮捕」という例がここ近年相次いでいます。