『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして3000件以上の取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所主宰。出版社で編集者・記者を務めたのちに独立。これまでライターとして3000件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「書かずにうまくなる段取り文章術」「論理的に伝わる文章の書き方」「好意と信頼を獲得するメール文章術」「すらすら書ける文章テンプレート活用法」等、その日から使える実践的ノウハウを提供。また、2016年より中国の5大都市で「SuperWriter養成講座」を定期開催中。

著書に『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(共に日本実業出版社)ほか多数。文章作成の本質をとらえたノウハウは言語の壁を超えて高く評価されており、中国、台湾、韓国など海外でも翻訳されている。

夏休み企画2|作文は「比喩(ひゆ)表現」で個性を出そう

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2023/08/03 11:55

一生モノのスキルになる!
『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法  <連載第66回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に精通する山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は「描写のひと工夫」について。

それは「ほかの何に似ている?」と考えよう

前回の記事では「オノマトペ」を使うことで、子どもの作文が魅力的になりやすくなる、というお話をしました。

【例】モジャモジャ頭の人が、歩いていました。

この文章にもオノマトペが使われています。「モジャモジャ」と書くことによって、この人物のヘアスタイルを表現力豊かに記述しています。

一方で、この文章をさらに魅力的にする方法もあります。それが「比喩(ひゆ)」です。

「比喩」とは「物事を説明するときに、他の何かに置き換えて表現すること」。先ほどの例文であれば、モジャモジャのかみの毛を「ほかの何か」にたとえることで、作文の魅力がアップします。

以下は、「たとえ」を使った例です。

【1】モジャモジャ頭の人が歩いていました。まるで、頭の上に鳥の巣をのせているかのようでした


【2】頭がバクハツしたのか? と思うくらい、かみの毛がモジャモジャな人が歩いていました。


【3】目の前を人が歩いていました。その人のかみの毛は、大きなブロッコリーのようにモジャモジャしていました。


【4】あっ、ワンピースのブルックだ! モジャモジャ頭の男の人が歩いているのを見て、ぼくは思わずその人のことを指差してしまいました。


【5】かみの毛がモジャモジャな人が歩いていました。「朝起きたときの弟のネグセに似ている」と思いました。

「鳥の巣」「バクハツ」「大きなブロッコリー」「ワンピースのブルック」「弟のネグセ」—— いずれもオリジナリティに富んだ表現です。

あなたの子どもの目には「モジャモジャ頭」は、「他の何」 に見えるでしょうか? これを考えることによって比喩表現が生まれやすくなります。

どんな比喩表現も間違いではありません。見えたものが(=似ていると思ったものが)、その子にとっての正解です。その比喩表現の中に、その子の個性が宿るのです。

子どもがせっかくたとえたモノを、親や大人が否定・批判してはいけません。「どこがブロッコリーなのよ!」と野暮なツッコミはせず、「大きなブロッコリーに見えたんだね〜」と肯定的な声をかけてあげましょう。

対話から生まれるユニークな表現

もしも、子どもが比喩らしき表現を書いたことがないようなら、子どもに質問する形で、親がさり気なく比喩表現を引き出してあげましょう。

家族でラーメンを食べに行った。たくさん食べたパパのおなかは、いつも以上にふくらんでいた。

仮に、子どもが、このような文章を書いたなら「そのおなかは何に見えた?」と質問してみましょう。

子どもは、楽しみながら、「何に見えた?」の答えを考えるはずです。ユニークな比喩表現が口をついたら「それは、おもしろいね。せっかくだから、それも作文に書いてみようよ!」と伝えてあげましょう。

以下は、比喩を使ってパパのお腹を表現した例文です。

【1】たくさん食べたパパのおなかは、いつも以上にポッコリふくらんでいた。ぼくには、それが、大きな風船に見えた。針でつついたら、きっとバン!とわれるだろう。


【2】たくさん食べたパパのおなかは、まるでバスケットボールをかくしているんじゃないかと思うほど盛り上がっていた。


【3】たくさん食べたパパのおなかは、野球場のピッチャーマウンドのようにきれいな曲線を描いていた。

作文を書くときだけでなく、ふだんから目に映ったモノを「他の何か」にたとえるクセをつけると、子どもの観察力や発想力、ひいては作文力が磨かれていきます。

【比喩なし】服が汗でびしょびしょになりました。

【比喩あり】まるでプールにとびこんだかのように、服が汗でびしょびしょになりました。


【比喩なし】白いビーチが広がっていました。とてもきれいでした。

【比喩あり】白いビーチが広がっていました。お砂糖をたくさんまいたかのようで、とてもきれいでした。


【比喩なし】その焚き火は、はげしくもえていました。

【比喩あり】その焚き火は、まるで怒ったときのママの顔のように、はげしくもえていました。

それぞれ「比喩あり」のほうが、子どもの感性や性格が伝わってきます。文章がイキイキと躍動しています。

とくに低学年の作文指導では、「表現の正しさ」に固執するのではなく、本人に「楽しさ」や「おもしろさ」を味わわせることが先決です。この時期に「作文好き」になった子の作文力は、その後もみるみる伸びていきます。大人は子どもの「自由に表現する能力」の芽を摘まないようにしましょう。


山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書は『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

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