『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして3000件以上の取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所主宰。出版社で編集者・記者を務めたのちに独立。これまでライターとして3000件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「書かずにうまくなる段取り文章術」「論理的に伝わる文章の書き方」「好意と信頼を獲得するメール文章術」「すらすら書ける文章テンプレート活用法」等、その日から使える実践的ノウハウを提供。また、2016年より中国の5大都市で「SuperWriter養成講座」を定期開催中。

著書に『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(共に日本実業出版社)ほか多数。文章作成の本質をとらえたノウハウは言語の壁を超えて高く評価されており、中国、台湾、韓国など海外でも翻訳されている。

お世話になった人からの誘いをソフトに断る方法

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2022/04/06 16:34

(photo by freestocks/Unsplash)

一生モノのスキルになる! 『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法<連載第50回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に関する著書も多い山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は、「言いにくいこと」をなるべくソフトに伝える方法について。

言いにくいことの先延ばしはお互いにストレス

ビジネスシーンでメールやチャットを書く際、「言いにくいこと」を先延ばししてしまう人がいます。

【「言いにくいこと」の一例】

・相手の依頼や誘いを断るとき
・相手の意向に添えないとき
・自分のミスを報告するとき

「言いにくいこと」について、言葉を濁したり、婉曲的に伝えたり、隠したりするのはよくありません。相手に迷惑がかかるだけでなく、巡り巡って、言わなかった本人がダメージを受けかねません(周囲からの信頼を下げる等)。

「言いにくいこと」ほどスピーディかつ明確に相手に伝える必要があります。

【原文】

キャンペーン企画の件ですが、費用対効果に懸念がございます。
とはいえ、コンセプトは悪くありません。
引き続き、検討いたしたく存じます。

 本当に検討する気があるならともかく、この時点で「却下しよう」と決めているとしたら、原文の書き方は不誠実です。相手に変な期待をもたせてしまうからです。

【改善文】

◯◯の企画の件ですが、熟慮の結果、採用を見送らせていただきました。
費用対効果が低いという結論に達したためです。
ご期待に添えず、誠に申し訳ございません。
恐れ入りますが、ご理解、ご了承いただけますと幸いです

 検討する気がないなら、改善文のように不採用の旨をはっきり伝えましょう。

自己防衛のための「先延ばし」は、伝える側にとってもリスクが小さくありません。後日、正式に断らなければいけないほか、気をもんだ相手が頻繁に連絡を入れてくるかもしれません。

また、「先延ばし」していることに罪悪感を覚え、心理的な負担を感じる人もいるでしょう。「先延ばし」をすることでムダなコスト(時間・労力・心理面)をかけることになるのです。

お世話になっている人からの誘いの断り方

あなたは、親しい取引先の担当者から「○○イベントに参加しませんか?」とお誘いを受けましたが、断ろうと考えています。そんな時、どんなメールを書きますか?

【原文】

○○イベントにお誘いいただき、ありがとうございます。
11日ですが、まだ予定が見えません。
スケジュールが見えた段階で、改めてご連絡いたします。

【改善文】

○○イベントにお誘いをいただき、ありがとうございます。
あいにくその日は所用があり、参加がかないません。
またの機会にお誘いいただけますと嬉しいです。

参加する気がないにもかかわらず、原文のような返信をしているとしたらアウトです。思わせぶりな「先延ばし」は相手に迷惑をかけてしまいます。

もちろん、ストレートに「参加しません」と伝えればいいということではありません。改善文で示した「あいにくその日は所用があり〜」のように、相手が納得しやすい理由を添えましょう。「あいにくその日はすでに予定が入っており〜」のようなフレーズでもいいでしょう。

また、「参加できません」は「参加がかないません」と書くことで印象がソフトになります。あなたが今後もお誘いを受けたいようなら、「またの機会にお誘いいただけますと嬉しいです」「これに懲りず、またお誘いいただけますと幸いです」のような言葉で結びましょう。

自分のミスを上司へ報告するときの伝え方

次はミスの隠蔽例です。あなたのミスによって、クライアントのAさんからクレームを受けました。あなたは、その一部始終を上司にメールで報告しなければいけません。

【原文】

先ほど井上さんから○○の件で、お問い合わせをいただきました。
少し行き違いがあり、誤解が生じたものと思われます。
明日電話を入れて、もう少し詳しく話を聞いてみます。

【改善文】

先ほどBさんから○○の件でお叱りを受けました。
わたしの伝え方が悪く、□□について△△という誤解を与えておりました。
すぐにお詫びし、現在、対応策として◇◇を進めております。
完全にわたしのミスです。申し訳ございません。

「責任逃れ」しようとしている原文に対し、改善文では自分の非を認めたうえで、対応策を進めている旨を伝えています。自分のミスを隠さず、スピーディに報告できる人は、相手や周囲から信用を得やすくなります。まさしく「ピンチはチャンス」です。

「言いにくいこと」を言わずにいた場合、「バレたらどうしよう……」とハラハラすることになります。これは精神衛生上も最悪で、仕事への集中力も削がれます。もちろん、状況を放置すれば大問題に発展することもあります。

人を巻き込んでのは「先延ばし」は、大きなトラブルを誘発するリスクも秘めています。身に覚えのある方は注意しましょう。

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そもそも文章ってどう書けばいいんですか?

「文章を書くことがストレス」「書くのに時間がかかりすぎる」「そもそも頭のなかにあることを文章にできない」……本書はそうした「文章アレルギー」のある人たちに、マンガを織り交ぜながら、わかりやすく文章の書き方をレクチャーしていきます。

著者:山口拓朗

価格:¥1,400-(税別)

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