『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして3000件以上の取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所主宰。出版社で編集者・記者を務めたのちに独立。これまでライターとして3000件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「書かずにうまくなる段取り文章術」「論理的に伝わる文章の書き方」「好意と信頼を獲得するメール文章術」「すらすら書ける文章テンプレート活用法」等、その日から使える実践的ノウハウを提供。また、2016年より中国の5大都市で「SuperWriter養成講座」を定期開催中。

著書に『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(共に日本実業出版社)ほか多数。文章作成の本質をとらえたノウハウは言語の壁を超えて高く評価されており、中国、台湾、韓国など海外でも翻訳されている。

もう1度確認したい文章の基本「5W3H」

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2021/09/08 16:34

一生モノのスキルになる! 『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法<連載第43回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に関する著書も多い山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は、文章を書くのに欠かせない「5W3H」について。

物事を正確に伝える基本は「5W3H」

武田さんは買ってきました。
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いきなりですが、あなたは、この文章にどんな印象を持ちましたか?

おそらく「どういう意味?」と首をひねったのではないでしょうか。意味が伝わらないのは、本来必要な「5W3H」が盛り込まれていないからです。「5W3H」とは、物事を正確に伝える際に用いる基本要素です。

「5W3H」

When:いつ・いつまでに【期限・期間・時期・日程・時間】
Where:どこで・どこへ・どこから【場所・行き先】
Who:誰が・誰に【対象者・担当・分担・役割・メンバー】
What:何を・何が・どんなこと&ものを【目標・要件・案件・物・課題】
Why:なぜ・どうして・なんのために【目的・理由・根拠・原因・動機】

How:どのように・どうやって【方法・手段・手順・プロセス】
How many:どのくらい・どの程度【数量・規模】
How much:いくら【金額・価格・費用】

冒頭の文章も必要な「5W3H」が盛り込まれていれば、読む人が首をひねることはなかったはずです。以下は、抜け落ちていた「5W3H」の一例です。

■「When」:今日の午前中
■「What」 : 誕生日ケーキを
■「Where」 : 六本木の人気ケーキ店「BROW」で
■「How many」 : 直径20センチ以上ある(ケーキを)

以下は、これらの情報を用いて書いた文章です。

今日の午前中、武田さんは、六本木の人気ケーキ店「BROW」で、直径20センチ以上ある誕生日ケーキを買ってきました。

必要な情報の量が増えたことで理解度が格段に高まりました。ケーキを買ってきた理由も入れたければ「Why」の情報、ケーキの金額も入れたければ「How much」の情報を盛り込めばOKです。

正確な情報伝達は信頼度UPにつながる

「5W3H」の抜け落ちは、文章の書き手にとって致命傷になりかねません。なぜなら、文章でのやり取りは会話のように相手から「それってどういう意味?」と突っ込んでもらいにくいからです。つまり、書き手の知らないところで、読み手に「この人の文章はよくわからない……」と、そのままスルーされてしまうのです。もちろん、書き手の真意が相手に理解されることはありません。

スルーされるだけならまだマシです。場合によっては、誤解やトラブルを招き、書き手の信用を下げてしまうこともあります。あるいは、仕事上で大きな損失を出してしまう恐れも。とくにビジネスシーンで文章を書くときには、「5W3H」のどの情報を盛り込むべきか、そのつど十分に検討する必要があります。

小林部長、お疲れさまです。残念ながら採用には至りませんでした。

多忙を極める小林部長は、部下から届いたこのメールを読んでイラっとしました。「どの案件の話だ?」。このメールには小林部長が知りたい「5W3H情報」のほとんどが抜け落ちています。

■「When」:昨日/3日
■「Where」:A社の赤坂支店
■「Who」:小林部長の部下/A社の飯田社長
■「What」:動画プロモーション企画のプレゼンテーション(プレゼン)の件/その企画が不採用になった件
■「Why」:コスト面(予算面)で折り合わない
■「How many」:手応えはあった(企画内容への評価は高かった)

以下は、これらの「5W3H」を盛り込んで書いた文章です。

小林部長、お疲れさまです。昨日(3日)、A社の赤坂支店にて「動画プロモーション企画」のプレゼンをしてきました。結果は不採用でした。企画内容には高い評価をいただきましたが、飯田社長いわく「コスト面(予算面)で折り合わない」との理由でした。

必要な「5W3H」を盛り込んだこのメールであれば、小林部長が大きな不明点や疑問点を抱くこともないでしょう。

「5W3H」はあらゆる文章で求められる情報です。必要な「5W3H」が抜け落ちることによって、せっかくの有益な情報が間違った形で伝わってしまう。せっかくの魅力的な提案を受け入れてもらえない。せっかくのすばらしい商品・サービスに興味を持ってもらえない――など、悲劇を招きやすくなります。

あなたがいま書こうとしている文章はどうですか? 読む人が理解・納得するために必要な「5W3H」は、きちんと盛り込まれていますか? 相手が理解・納得するうえで必要な「5W3H」の抜け落ちに注意しましょう。

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そもそも文章ってどう書けばいいんですか?

「文章を書くことがストレス」「書くのに時間がかかりすぎる」「そもそも頭のなかにあることを文章にできない」……本書はそうした「文章アレルギー」のある人たちに、マンガを織り交ぜながら、わかりやすく文章の書き方をレクチャーしていきます。

著者:山口拓朗

価格:¥1,400-(税別)

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