『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして3000件以上の取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所主宰。出版社で編集者・記者を務めたのちに独立。これまでライターとして3000件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「書かずにうまくなる段取り文章術」「論理的に伝わる文章の書き方」「好意と信頼を獲得するメール文章術」「すらすら書ける文章テンプレート活用法」等、その日から使える実践的ノウハウを提供。また、2016年より中国の5大都市で「SuperWriter養成講座」を定期開催中。

著書に『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(共に日本実業出版社)ほか多数。文章作成の本質をとらえたノウハウは言語の壁を超えて高く評価されており、中国、台湾、韓国など海外でも翻訳されている。

ビジネスシーンで信頼度が上がる二強の接続詞

このエントリーをはてなブックマークに追加

2021/03/03 16:14

一生モノのスキルになる! 『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法<連載第37回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に関する著書も多い山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は、ビジネスシーンでの効果的な接続詞の使い方について。

文章が上手い人ほど「接続詞」を使いこなしている

この連載の一覧はこちら

文章と文章を接続し、話の流れを整える役割を担う「接続詞」。文章が上手な人ほど接続詞を適切かつ効果的に使っています。

接続詞には「読む人に文章の行く先を知らせる役割」があり、その中には、「接続詞のあとに続く文章の内容を決める役割」を備えているものもあります。つまり<この接続詞を使ったら、続いて必ず◯◯について書かなければいけない>というタイプのものです。

ふだん説得力の高い文章を書いている人ほど、このタイプの接続詞を上手に使っています。本稿ではビジネスシーンで重宝する「説得力が高まる2つの接続詞」をご紹介します。

「なぜなら」で理由・根拠を明確に示す

接続詞「なぜなら」は、それまで述べた内容の「理由・根拠」を伝えたいときに使います。理由や根拠を明確にすることで、論理性が強化され、文章全体の説得力が高まります。

【例文】
私はA案に賛成です。
なぜなら、スマホを使うことによってメインターゲットである20代女性に訴求しやすくなるからです。

 もしも、この文章の「なぜなら」以降が書かれていなかったとしたら、読む人は納得できないでしょう。理由が不明瞭だからです。

ビジネスシーンにおいては「理由・根拠」が極めて重要です。どんな結論も理由がなければ(もしくは弱ければ)、その結論の価値は低減します。ふだんから「なぜなら」を使っている人は、理由を語ることへの意識が高い人です。

もっとも、「なぜなら」と書いたからには、読む人が納得するにふさわしい理由・根拠を書かなければいけません。自分の結論を支える理由・根拠は何なのか? 文章を書く前に、この点についてしっかり考える必要があります。

ちなみに、「なぜなら」というフレーズは、必ず「〜(だ)から」で受ける呼応表現です。「〜(だ)から」を省略しないようにしましょう。

✕ なぜなら、テレワークの影響で夫婦が一緒に過ごす時間が増えています。
○ なぜなら、テレワークの影響で夫婦が一緒に過ごす時間が増えているからです。

「たとえば」で具体例を示し、理解を深める

接続詞「たとえば」は、それまで述べた内容についての具体的な例(体験談や事例、詳細など)を示したいときに使います。具体例を示すとことによって、読む人の理解が格段に深まります。

「たとえば」は、“これから一例をお見せしますね”というシグナルのようなものです。この言葉を書くことによって、読む人は具体例を受け取る準備を整えます(結果として理解度が高まります)。

【例文】
集客方法もそれぞれ異なります。たとえば、A社ではインターネット広告を多用していますが、B社ではSNSを使ったファンづくりに注力しています。

【例文】
佐藤社長の発言が物議を醸すことは少なくありません。たとえば、「リストラされた50代のビジネスパーソンに門戸を開く」というアイデアもそのひとつです。

どちらの例文も、冒頭の一文目だけでその真意を理解することはできませんが、「たとえば」を用いて具体例を示すことで、理解度はもちろん、説得力も圧倒的に高まります。

仮に、一文目で文章が終わっていたら(具体例がなかったとしたら)、読む人は「異なるって……どういうこと?」「物議を醸す発言って……どんな物議?」とモヤモヤすることでしょう。

「たとえば」のあとに続く文章を読んだ読者が、頭の中でリアルな様子や映像を思い浮かべられたら、その具体例は及第点です。具体例が複雑すぎると理解度が下がります。できるだけシンプルに伝えるよう心がけましょう。

「結論」「理由・根拠」「具体例」を語ると信頼度UP

ビジネスシーンで文章を書く際に大事なのは「結論」「理由・根拠」「具体例」の3点です。結論がはっきりしないのは論外としても、結論を下支えする「理由・根拠」や「具体例」が抜け落ちてしまうのもよろしくありません。

「理由・根拠」と「具体例」を確実に導き出すための接続詞が「なぜなら」と「たとえば」です。この2つの接続詞を意識的に使うことによって、読む人の納得度が格段に高まります。

「理由・根拠」と「具体例」は、営業メールから企画書、提案書、報告書まで、あらゆるビジネス文章に求められる要素です。「なぜなら」と「たとえば」を有効活用していきましょう。

このエントリーをはてなブックマークに追加

そもそも文章ってどう書けばいいんですか?

「文章を書くことがストレス」「書くのに時間がかかりすぎる」「そもそも頭のなかにあることを文章にできない」……本書はそうした「文章アレルギー」のある人たちに、マンガを織り交ぜながら、わかりやすく文章の書き方をレクチャーしていきます。

著者:山口拓朗

価格:¥1,400-(税別)

オンラインストアで購入する

テキスト採用など、大量・一括購入に関するご質問・ご注文は、
弊社営業部(TEL:03-3268-5161)までお問い合わせください。

ページのトップへ