川を知る事典 日本の川・世界の川

発売日 2003.10.22
著者 鈴木理生
判型 四六判/並製
ページ数 312
ISBN 978-4-534-03656-8
価格 ¥1,760(税込)

北海道に始まりアフリカに終わる日本と世界の川を紹介しながら、川と人間の関わり方、、自然河川と運河、古今東西の川の意識の変遷などを、豊富な蘊蓄とともに書き記した一冊。事典としても人文書としても面白く読める、都市史研究第一人者による渾身の書。

≪章立て≫
第1章 「川」のつく地名
第2章 川とは何か
第3章 日本人の川への意識
第4章 人工水路と運河
第5章 地球上の川とガワ
第6章 世界の運河と川

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第1章 「川」のつく地名

 

 1 「カワ」という表現 12

   日本の「川」と外国の「カワ」 12

   漢字文化圏の「川」の表現 13

 2 北海道の川と名前 16

   地名に残る「ナイ」と「ベツ」 16

   函館から渡島半島~石狩湾まで 18

   「日本一の大河」は? 20

   <補>河川短縮工事のツケ 21

   稚内近辺から網走まで 23

   知床~襟裳岬、そして函館まで 24

   北方領土では 26

   <附>新領土北海道 27

 3 東北地方の川と名前 32

   地名に残る土地の記憶 32

   青森~岩手県に見る「辺」「戸」とその由来 34

   <附>田村麻呂の謎 36

   岩手県に見る「ナイ」と「ウチ」 41

   日本海文化圏の中心的な湊を持つ秋田県 42

   秋田県に残る「別」と「内」 43

 4 中国~朝鮮の「川」「河」「江」 47

   黄河の「河」と長江の「江」 47

   中国東北地方と四川地方 50

   朝鮮半島の場合 51

   <補>日本の「河」と「江」と「川」(セン) 54

 

 

第2章 川とは何か

 

 1 「かわ」と「がわ」の意味するもの 58

   日本特有の「川」の命名法 58

   無数の滴りが「沢」をなす 60

   沢・瀬の呼び方 62

   <附>血筋の表現 64

   「川」の変形──池・沼・湖 66

   <補>琵琶湖と世界の湖 67

 2 川は側(ガワ)をつくって流れる 70

   一滴の雨から谷までの流れ 70

   <附>シミズ・キヨミズ・セミド… 72

   「ガワ」(岸辺)の風景 74

   植生を巡る流れと沙漠を流れる川 75

   <補>「南水北調」 77

   氷となっても流れる 79

 3 井戸というカワ 80

   井戸のタテ・ヨコ 80

   ヨコ井戸文化圏 81

   <補>江戸のカナート 83

   天井(てんじょう)ではない天井(てんせい) 85

 4 近代日本の川 87

   明治政府の川の定義 87

   河川の流長と幹支流航路 89

   蛇行現象の実例──セーヌ川・ティグリス川と利根川 92

   <附>「たゆたえども沈まず」 96

 

 

第3章 日本人の川への意識

 

 1 水の上下という感覚 98

   『記・紀』より受け継がれた「三尺流れれば清し」 98

   水の「良・悪」と「上・下」 99

   川の稀釈能力 101

   都市施設としての上下水道 102

   ポンプ利用で変えられた河川の姿 105

   <附>かわや=川屋 108

   「ガワ」を否定した都市河川行政 110

   <補>道にみる「カワ」と「ガワ」の意識 112

 2 古典で見た川 114

   万葉人の見た「天の川」 114

   「百人一首」に流れる川 116

   蕪村の見た川 121

   <附>その他の蕪村の詠んだ川 127

 3 江戸期の谷間の表現 130

   最初の有料トンネル? 130

   広がる耶馬渓・増える「渓・峡」 132

   北海道から関東までの「渓・峡」 133

   中部・近畿地方では 135

   西南日本の場合 136

   養老の滝 138

 4 旧国名と川の役割 140

   古代の国とその並び方 140

   <附>国の異名・異称 143

   畿内を流れる川と国──摂津・和泉・河内 144

   京都と日本海を結ぶ要所──近江 148

   <補>淀川水系の源は? 149

   三河国とアズミ族 150

   <補>川を遡った種族 154

   遠江国と駿河国 155

 5 アラカワと「カワ」のつく地名 158

   地名としてのアラカワ 158

   東京を流れる「荒川」の変遷 160

   上杉ゆかり、新潟県の2つの荒川 162

   「何々カワ」と読ませる地名 164

   <補>東京に意外に多い「カワ」 167

   川のつく県にはその名の川はない? 168

   名は態を表す「新潟」 172

   信濃川・阿賀野川とその地域開発 175

   <附>新潟湊の繁栄 178

 

 

第4章 人工水路と運河

 

 1 人工水路と日本人 182

   川と人間の最初の関わり 182

   灌漑とは人工湿地づくりのこと 183

   玉川上水も荒川も「川」 185

   狂心(たぶれごころ)の渠(みぞ) 186

   万葉集に見る明日香川二態 188

   石の都は水の都 189

   <補>飛鳥時代にロック式水路はあったか? 190

 2 琵琶湖疏水 192

   1兆円以上?の大事業 192

   「哲学の道」沿いを流れる水の向きは? 195

   二条大橋付近と高瀬川 196

   <補>運河と海上交通の整備 198

   工事の結果としての新しい施設 199

   疏水の最末端──伏見 200

   かつての巨大湖──巨椋池 202

   <附>揮毫に見る工事関係者の「器」 204

 3 歴史的な世界三大運河 206

   遣隋使の時代から今も使われる中国の大運河 206

   黄河と長江の水位差(ロック式のしくみ) 209

   観光地ベネチアとヴェルサイユ宮殿の運河 212

   <附>長城の煉瓦に見るもう1つの「水運」 215

 

 

第5章 地球上の川とガワ

 

 1 「世界の屋根」から流れる川 218

   地球の2つの大造山帯 218

   アジアの文明を築いた大河の源 219

   北極海を目指す川 224

   北極海の汚染 226

   <附>大学入試センターの試験問題図 228

 2 アジア西端と地中海沿岸 230

   蜜と乳が流れ、石油の富をもたらす川 230

   よく流れる川「ヨルダン」の水不足 233

 3 森林と川 236

   レバノンの国旗 236

   <附>森林の加工用具 238

   多摩川流域の自然回復 239

   <附>咢堂・尾崎行雄 240

   武蔵野現象 242

 

 

第6章 世界の運河と川

 

 1 近代は運河時代に始まる 246

   西欧(オクシデント)と東洋(オリエント)の境目──スエズ運河 246

   人造湖によってロック式が可能に──パナマ運河 247

   海にある運河──沿海運河 250

 2 運河ランド・ヨーロッパ 255

   一体となっている自然河川と運河 255

   馬車による標準的な運搬重量 257

   ロシア中央高原の川 259

   <補>バトンタッチ方式だった曳舟 263

   黒海に流れ込む川 264

   黒海の役割とビザンチン帝国 265

   <附>「側」を残すイスタンブールの歴史遺産 267

   ライン川を中心にした運河網 270

   ライン河口~フランスの水路 271

   実用性を優先したイギリスの内陸水路 275

   <附>やはり「川」「流れ」が川の名前の由来 277

 3 水運王国・アメリカ 278

   川に“倉庫”が航行する──アメリカの「M・R・S」 278

   2つのNを結ぶ水路 280

   「発見者」の名簿のようなカナダの川 283

   <附>「一衣帯水」の湖沼地帯と豊富な地下資源 286

   先住民の言葉づくしの新世界・アメリカ 288

 4 アフリカの自然河川 291

   青ナイルと白ナイル 291

   政治的な川・湖の名 292

   歴史の影響を大きく受けるアフリカの地名 293

   ザンベジ=〈大きな川〉 296

   ザイール=〈力強い川〉 297

   ニジェール=〈川の中の川〉 298

   <附>ハゲても「輝く山」か 301

 

 

おわりに なぜアフリカで結んだのか

   ○川を見る2つの視線 302

   ○ヒトゲノム解読 305

   ○「ガワ」の十字路 306

著者プロフィール

鈴木理生

すずき・まさお
1926年東京生まれ。1986年まで千代田図書館勤務。都市史研究家。著書に『千代田区の歴史』(名著出版)、『江戸はこうして造られた』(ちくま学芸文庫)、『東京の地理がわかる事典』(日本実業出版社)、『江戸の橋』(三省堂)などがある。

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