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『仕事で必要な「本当のコミュニケーション能力」は どう身につければいいのか?』(安達裕哉 著)

就活時はもちろん、学生生活でも嫌になるほど意識させられた「コミュ力(コミュニケーション能力)」。

この「何を指すのかはっきりせず、ぼんやりと定義された能力」について疑問を覚える人も多く、就活生の中には「日本企業が米中に差をつけられたのは、技術力じゃなくコミュ力なんて変なものを重視した人材ばかり採用してたからだ」という人も少なくありません。

そのような側面もあるのかもしれませんが、そこまで企業が求める以上、「コミュ力」にもなんらかの重要な要素が含まれているはず。その正体を探ったのが、月間PV200万以上のブログ「Books&Apps」を運営し、大小合わせて1000社以上の企業を見てきた安達裕哉氏の著書『仕事で必要な~』です。

コミュ力の定義は人の数だけ存在するため、模範解答を定めることはできませんが、ある程度似通った回答から抽出した「最大公約数的な答え」ならあるはずです。同書はコミュ力に関する数多くのエピソードから共通項を見出すという手法で、その正体に迫っています。

ここでは「会話には『手加減すること』が必要なんだよ」という人とのやり取りから得られた「答えの1つ」を一部引用で紹介します。

「たとえば、ある友だちに自分の好きなゲームの話をするとしよう。自分は詳しいけど、相手はそのゲームをしたことがない」
「よくあるね」

「ならば自分は、相手がどこまでそれについて知っているのか、を確かめながら話を進めなくてはならない。格闘ゲームなら、格闘ゲームをやったことがあるか、『コマンド』を理解しているか、格闘ゲームの面白さについて聞いたことがあるか、これらが『手加減』だ。

これをしないと相手はキョトンとしてしまうか、『よくわからない話だ』と思いながら話を我慢して聞くだけになる。

だから会話が面白いのは、じつは『同じ知識レベル』の人同士だよ。手加減しなくていいから。話していて『つまらないな、この人の話』と感じるときは、知識レベルに隔たりがあるときだね。それを理解したうえで、次に『3つのモード』を使い分ける」
「何それ?」

「会話というのは目的によって3つに類型化される。『議論モード』『共感モード』、そして『提供モード』

「はじめて聞いた」
「だろうね。私が勝手につけただけだから(笑)。でも、意識するだけでけっこう役に立つ。『議論モード』は、自分と相手の話す割合が5:5になるようにする。これはお互いがきちんと意見を言い合って、よりよい知識を生み出すための会話の方法」
「なるほど」

『共感モード』は自分が『聞き役』で、話す割合は自分と相手が2:8くらい。この会話の目的は相手にスッキリしてもらうこと。そして『提供モード』は自分が8話して、相手が2くらい質問するイメージ。要するに情報提供。

といっても、あくまでこれらは目安。でも、意識すると会話はかなり楽だよ。とはいえ……」
「とはいえ?」
「本当に会話がうまい人は、こういう分析をいちいちせずとも、会話をうまく成立させてしまうけどね。それが本当のコミュニケーション強者だよ」

(『仕事で必要な「本当のコミュニケーション能力」は どう身につければいいのか?』P.30-32より、一部編集のうえ引用)

知っておくと役に立つ「電話応対の方法」と「労働法」

『電話応対の基本とマナー』(恩田昭子 著) 5252a

一人一台以上スマホをもつのが当たり前となったいま「誰宛かわからない電話を取り、失礼のないような応対をし、場合によっては該当者に取り次ぐ」といった一連の行為は、最近の若い人にとっては思いのほかハードルが高いようです。

研修などでは「新人といえども会社の一員なので、くれぐれも失礼のない丁寧な言葉遣いをするように」と習うことがほとんどでしょう。

しかし、現実では先輩が「あー、どーもーお世話様です〇〇です~」といった口調で電話をかけていたり、かかってきた電話を取るとこちらが名乗るよりも早く「▲▲だけど、部長さん今いる?」と年季の入った声でぶっきらぼうに言われたりすることがあります。

ただでさえ「自分宛じゃないかもしれない電話を取る」行為に慣れないのに、このような「習ったことと現実とのギャップ」があると、電話への苦手意識に拍車がかかるのも無理がありません。

こうした基本から外れた(?)対応は、相手との関係性がある程度できているから成せるワザです。新人のうちは「丁寧であること」と次に挙げる2つのポイントをおさえた対応を行い、「とりあえず電話に慣れよう」と割り切ってしまうのがおすすめです。