[質問]
P.71に「利益2倍・株価4倍」の条件3として「知名度が低いこと」と書かれています。しかし、知名度が低いがゆえに「業績はあがっているが、出来高が追い付いてこない。その結果、株価もイマイチあがらない」といった銘柄を持ちすぎるのも機会損失となるように思います。

出来高はどの程度考慮すればいいのでしょうか。また、そうした出来高が追い付いてこない銘柄について「どの辺で見切る」のような基準は決めた方がいいのでしょうか。

[回答]
正直なところ、出来高はほとんど考慮しなくてOKです。
買った当初は出来高が少なくても、保有後の会社の成長と知名度の向上、各種好材料が出ることで出来高も自然と増えていくためです。「最初は最少単元で購入し、業績が好調なのを確認してから買い増す」という運用方針のため、最少単元で損切りをしたとしても影響はほとんどありません。

まずは最少単元で購入し、業績が予想通りにいかず(増益ではなく減益になった。または赤字になったというケース)、株価や出来高が上がってこないという場合は、見切ってもよいでしょう

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長期投資は「買って放置するだけ」とはいっても、疑問は解消しておきたい(Illustration by radiorio/fotolia)

[質問]
本書P.94に書かれているアークランドサービスの買い向かいについて「パニック売りの最中で難しい状況だったが、震えながら買い注文を出した」とありますが、そこで買い向かう決断を支えたものはなんだったのでしょうか。

[回答]
リーマンショック時の失敗からです。

このとき、覚えているのはコマツの株価です。リーマンショックの真っ最中、同社の株価が700円台まで下がったときがありました。そのときのPERはたしか2~3倍台くらいだったでしょうか、企業価値と比較したら、明らかに激安のタイミングだったにも関わらず、私は「恐怖」という感情に優先されて買い向かうことができませんでした。その後、コマツの株価は数年で2,000円台まで回復しチャンスに乗れなかったことを後悔しましたし、次は絶対逃さないと決めました。

結局、恐怖はその最中だけで、永遠に続くわけではないのです。半年から1年過ぎればチャンスへと変わっていくという過程をリアルタイムで学ぶことができました。当時は「100年に一度の経済危機」とか言われていましたが、数年後には「100年に一度の買いチャンス」へと変わっていたのが印象的でした。

次の恐怖は2011年3月の東日本大震災です。3月14日、15日は日本中がパニックの真っ最中です。メルトダウン、津波、計画停電……。誰もが売っている状況。まだまだ下がるというムードの中、総額300~400万円くらい買い向かったため、さすがに指が震えました(先が見えない中での、過去最高の購入額でしたから)。