2016年11月9日(日本時間)、「アメリカ大統領選」の選挙人選出投票が行われ、第45代アメリカ大統領として共和党のドナルド・トランプ氏が次期大統領になりました。名実ともに世界一の大国であるアメリカのトップを選ぶこの選挙は、日本国内でも(ある意味自国の選挙報道より)大きな注目を集めました。

そして2018年11月6日の今日、上下両院をはじめとするアメリカのさまざまな公職の選挙が行われ、これらをひっくるめて俗に「中間選挙」と呼ばれています。今回の選挙は直接的に米大統領の選出に関わるものではありませんが、実態として「大統領、ひいては共和党に対する信任を問う選挙」であるといわれています。

さて、2年前の大統領選や今回の中間選挙に関する報道を機に「アメリカの大統領選挙ってそもそもどういうしくみだっけ?」と、興味をもった人もいることでしょう。そこで、アメリカの大統領制度について、簡単に見てみましょう。

大統領選挙の流れとしくみ

大統領選のタイムライン

アメリカ大統領選では、まず国民が「選挙人」と呼ばれる人を選び、そこで選ばれた選挙人が大統領を選ぶという二段構えの間接選挙制を採用しています。また、大統領候補として出馬する側は、その前に各党内での指名を勝ち取る予備選挙に勝たなければなりません。日本国内では予備選挙の結果とTV討論会の様子、選挙人選出投票くらいしか報道されませんが、実際には下図のようなプロセスがあり、およそ2年かけて進行します。

アメリカ大統領選の流れ(『早わかりアメリカ』池田智/松本利秋著、p.161より)
アメリカ大統領選の流れ(『早わかりアメリカ』池田智/松本利秋著、p.161より、一部編集)

大統領選は、まず出馬表明から始まります。そして、敗れたヒラリー・クリントン氏は2015年4月に、今回当選したトランプ氏は2015年6月に出馬表明を行いました。その後、二人は民主党・共和党の各党内で支持基盤を固め、予備選挙を経て大統領候補としての党指名を獲得。数度のTV討論などを経て、今回の投票(上図の緑色の部分)に臨んだ、という流れになります。

今回の投票結果を受け、次に行われるのが「大統領選挙人による投票」(今回は12月19日に実施)です。形式的な手続きではあるのですが、本来はこちらが正式な「大統領選出投票」になり、投票結果は封印を施されたうえで保管されます。そして、来年1月の連邦上下院合同会議の場で開票、その結果をもって大統領が正式に決定する、という流れになります。