4. 場合によっては、相手との関係性が冷え込む

メリットで書いたように、内容証明は心理的圧迫・威嚇効果をもちます。催促のつもりで、相手が誠意をもってトラブル対応を行っているときに送ると、逆に相手の心証を害する場合があります。

また、売掛金の回収を目的として倒産寸前の相手に送ったりすると、差押えの危機感をもたせることになり、財産隠しに走らせかねません。内容証明を送るときは、相手との関係性やタイミングをよく考えたうえで送る必要があります。

ケース別 内容証明の文例

では、内容証明の例をケース別にみてみましょう。ここでは「借金の督促」「未払い賃金の請求」「クーリングオフ」「夫の浮気相手に対する交際中止請求」「学校へのいじめ防止措置実施の請求」の5つを例に取りあげます。
※参考ならびに文例引用元:『そのまま使える 内容証明ケース別181文例』(北河隆之監修・弊社刊)

借金の督促

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ワンポイントアドバイス

弁済期(当初定めた借金の返済予定日)が過ぎた場合、貸主は元本と利息に加えて、弁済期から実際に返済された日までの遅延損害金を借主に請求することができます。遅延損害金は、当事者間で約束した利率があるならそれで計算しますが、約束がないのであれば法定利率である年5%で計算します。

この例では、当事者同士で定めた年10%という約束があるので「元本+利息(年10%)+遅延損害金(年10%)」を請求することになります。利息と遅延損害金は法律的には別物ですから、記載を分けてもよいでしょう。最後に、支払がなければ法的手段に訴える旨を付け加えておけばより効果的です。

未払い賃金の請求

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ワンポイントアドバイス

従業員は、勤務先に対し賃金の支払いを請求する権利があるので、未払い賃金がある場合は期間と金額を明記したうえでこのような通知を送りましょう。また、従業員は賃金未払いの事実を労基署(労働基準監督署)に知らせて行政処分を求めたり、会社を相手取って労基法(労働基準法)違反として刑事告訴することが可能です。