トラブル解決で強力な力を発揮する「証拠」。相手が言い逃れをできないよう「こちらの言い分を相手に確実に伝えた」ということを証明できれば、これほど心強いものはありません。そのようなときに使える強力な武器のひとつが「内容証明(正確には内容証明郵便)」と呼ばれるものです。

内容証明は、心理的な圧迫効果・威嚇効果もあり非常に有効な手段といえる一方、そうした効果がかえって仇をなす場合もあるなど、使いどころにちょっとしたコツが必要な手段です。

それでは、内容証明の特徴や注意点と疑問点、そして借金にまつわるトラブルや未払い賃金の請求、子どものいじめ阻止請求など、ケース別の使い方をみてみましょう。

「内容証明」とはどのようなものか

まずは、内容証明ついて詳しく見てみましょう。まず、内容証明には次のような特徴があります。

  1. 「誰が、誰に対して、いつ、どんな内容の」手紙を出したのかを、郵便局が公的に証明してくれる手紙。ただし、内容については証明されるが「内容が真実かどうか」を証明するものではない
  2. あくまでも「手紙」なので書く内容は自由。ただし、書式など一定の形式を守る必要があり、書留でしか出すことができない
  3. また、内容証明郵便に書かれているものが法的な効力をもつわけではない。そのため相手に対し「必ず返信しなければならない」「必ず実行しなければならない」といった強制力をもつものではない

それぞれについて、もう少し詳しく見てみましょう。

1. 証明してくれる内容、証明してくれない内容について

たとえば2016年11月1日に、AさんがBさんに対して次のようなことを書いた内容証明を送ったとします。

B氏は私(A氏)から2015年10月1日に100万円借り受け、約1年経過したにもかかわらず、返済の意思を示していない。そのため、12月1日までに返さなければ裁判も辞さない(要約)

このとき、郵便局が証明してくれるのは「11月1日に、AさんがBさんに対して『12月1日までに100万円を返さなければ裁判も辞さない」という内容の手紙を出した』というところまでです。当然ながら、郵便局は「BさんがAさんに100万円借りた」ことの真偽を知らないので、「内容が真実である」といった証明はできません。「真実かどうか」を証明するための資料や証拠は、別に用意する必要があります。

2. 書ける内容と作り方・送り方について

本質的にはただの手紙なので内容は自由ですが、「内容証明以外の文書(例:図面など)は同封できない」「使える文字に制約がある」など一定の形式を守る必要があり、「相手に送る分・郵便局の保管用・自分の保管用」の計3通を作成する必要があります。具体的には「内容証明の差出方法等」「内容証明 ご利用の条件等」「内容証明についてのよくあるご質問」(いずれも日本郵政のサイト)を参照してください。

3. 法的な効力について

内容証明は公的機関が書いているわけではないので、法的な効力自体はもちません。そのため、内容に「●月▲日までに借金を返すように」と書いてあったとき、期日を過ぎたとしても受取人が法的に罪を問われるようなことはありません。

ただし「抵当権の消滅請求」など、なかには通知を受け取ってから一定期間が経過することで法的効果が発生するものもあります。その場合、受取人側が行動を起こさなくてもそのまま事が運ぶことがあるので、注意が必要となります。

内容証明のメリット・デメリット

では、内容証明を送ることのメリット・デメリットをみてみましょう。