内容証明を送るメリット

1. 内容や発信日時が公的に証明されること

繰り返し書いているように、最大のメリットは発信日時や内容が公的に証明されることです。契約をはじめ各種トラブルがこじれたとき「いつ発信したのか」を客観的に証明できるということは、極めて大きな武器となります。また、内容証明は「配達証明」つきで送ることで「発信した内容が受取人にいつ伝わったのか」まですべて証明できるので、一般的には「内容証明+配達証明」のセットで用いられます

2. 郵便局でも控えを取っておいてくれる

内容証明は保管分も含めて計3通を作成することになるので、万が一自分の保管分がなくなったとしても、郵便局の保管期間内であれば、そこからもう一度証明してもらうことが可能です。

3. 心理的な圧迫・威嚇効果がある

内容証明は「発信日時など各種証明がつくこと」「書留であるため、受け取り側は押印を要求される」などから、「場合によっては法的手段も辞さない」など差出人側の強い意思が表れる伝達手段なので、受け取りなれていない人には大きな心理的プレッシャーを与えることができます。メールや電話などで連絡しても受け流されていた案件が、内容証明を送った途端に進展する、といったケースも少なくありません。

4. 証拠づくりができたり、相手の出方をうかがえる

応用的な使い方として「証拠づくり」があります。たとえば「借金返済の督促しても返してもらえない。また、借用書や証拠になるものを書かせていなかったので裁判に出ることも難しい」という状況で、「証拠づくりとしての内容証明」を出すという手があります。

内容証明は威嚇効果をもつ一方的な通知です。そのため、相手側が不安に思い「返済を待ってくれ」など、債務の存在を認めるような返信をすれば、それを証拠として用いることができます。また、実際は50万円しか貸していなくとも「100万円返せ」という文面で内容証明を送る場合もあります。これに対し、債務者が「50万円しか借りていないはずだ」という反論してきたら、それも「借金の存在」を証明するものとなります。

5. 受取拒否をされても、法的には内容が相手に通達されたものとみなされる

内容証明を相手が受取拒否をした場合、その旨が記載された紙を貼られ、差出人に戻ってくることがあります。このとき、相手は中身を見ていないわけですが、法的には相手に通達したという扱いになります。ですので、クーリングオフに代表される契約解除や、賃料増額・相殺のような通知の効果は、相手が受取拒否をしても効力が発生します。

ただし、不在により戻ってきた場合はこの限りではありませんので、内容証明のコピーを普通郵便で合わせて送るなど、別途工夫が必要になる場合もあります。また、相手が夜逃げして居所がわからない場合などは、裁判所を通じて公示送達を行う方法もあります。

内容証明を送るデメリット

1. 使える文字に関する制約がある

前ページの「書ける内容と作り方・送り方について」で紹介したリンク先にもありますが、内容証明は「固有名詞以外は日本語しか使えない」「1行あたりの文字数や、紙1枚あたりの行数も決まっている」など書式が厳しく定められているので、これを守らないと郵便局で受理してもらえません。

2. 内容証明文書以外のものは同封できない

文書以外のものを同封することはできないので、図解なら目でわかる内容でも言葉で説明する必要があります。そのため「規定内で自分の主張や説明を書ききる」ように、文章をよく練らなければなりません。

3. 書き間違いが命取りになることも

先にも述べたとおり、内容証明は「このように書いてあった」ということを証明し、正しいかどうかの判断はしません。裏を返せば「間違ったことを書いたり、法に触れるようなことを書いたら、それで証明されてしまう」ということでもあるのです。

たとえば、うっかり請求金額を少なく書いたり、心理的圧迫効果を狙いあまり脅すような文面を書くと、相手に有利な証拠として使われたり、脅迫罪・恐喝罪の根拠となる恐れが発生します。