親は誰しも、自分の子どもには「頭のいい子」に育ってほしいと願うもの。そのために勉強や習い事をさせることも大切ですが、食事で正しい栄養をとることでかしこい脳を育てることも大切です。

そこで今回は、料理研究家・管理栄養士であり、NHKをはじめ多数のメディアで育脳から認知症予防まであらゆる食のアドバイスを行なっている小山浩子さんの著書『頭のいい子が育つ食事』より、食事が脳に与える影響や、脳を育てるおすすめ食材についてみてみましょう。

子どもの脳の9割は6歳までに、完成する!

そもそも、私たちの脳はどのように成長するのでしょうか?

まず脳の神経は、赤ちゃんがお母さんのおなかの中にいる、だいたい妊娠2か月めごろからつくられ始め、3歳ごろまでには大脳、小脳、脳幹という基本構造がほぼできあがります。さらに、子どもの脳は6歳で大人の脳の9割まで成長し、小学校を卒業する12歳でほぼ完成します

たとえば「スキャモンの発達・発育曲線」と呼ばれる体の各部位がどのように発達していくかを表すグラフを見ると、体の発育(身体型)がゆっくりなだらかな成長をするのに対して、脳の発達(神経型)は6歳ごろまでに急激に発達し、後はなだらかな上り坂になることがわかります。つまり、将来かしこい人になるかどうかは、この時期にしっかりと働く脳をつくることが、とても大切なのです。

頭のいいこ
『頭のいい子が育つ食事』(小山浩子:著)17ページより

「質」のいい栄養が、かしこい脳をつくる

もちろん、わが子をかしこい子にするために、赤ちゃん期、幼児期に、読み聞かせやワークブックなどで脳に刺激を与える「育脳」はとても大切です。しかし外からの刺激以外に、脳細胞を育てるための栄養を内側から与える必要があることを忘れてはいけません。

小山さんによると、脳が成長する過程で重要なのが、よく働く脳をつくるための適切な栄養をきちんととることだとか。実は脳の60%は脂肪でできているため、脂肪は脳にとっては欠かせない重要な栄養素です。もちろん脂肪なら何でもいいというわけではなく、栄養としての「質」にこだわることが大切です。

たとえば、脂肪を構成しているものは「脂肪酸」と呼ばれ、その中でも青魚に多く含まれるDHAやEPAといった「オメガ3系脂肪酸」を取り入れることで、脳を構成する細胞膜がやわらかくなります。そうすることで、様々な情報をキャッチして柔軟に思考する脳をつくることができます。

また脂肪を除き、脳の残り40%の多くを占めている「タンパク質」も重要です。食事によって体内にとりいれられたタンパク質は、消化酵素によって「アミノ酸」に分解され、脳内で判断力や記憶に関わる神経伝達物質の材料となります。その中でも、体をつくっているタンパク質(アミノ酸)と構造が近く、体内で効率よく合成することができるのが「良質」なタンパク質です。

具体的に、その質を示しているのが「アミノ酸スコア」。アミノ酸には体内で合成できず、食品から必ずとらなくてはいけない9種類の「必須アミノ酸」があり、その9つの必須アミノ酸の食品に含まれるバランスを数値化し、表したものです。「肉」や「魚」はもちろん、「豆腐」や「ブロッコリー」などもスコアの高い食品で、体内への吸収率が高く「良質なタンパク質源」です。

69
『頭のいい子が育つ食事』(小山浩子:著)69ページより