かしこい脳をつくる食材って?

最後に手軽に「質」のいい栄養を摂取でき、脳をすくすく育ててくれる食材をいくつか紹介します。
 
・魚〈脳を活性化するDHA〉


イワシ、サバ、マグロなどの青魚に含まれる脂肪、DHAとEPAは脳内の神経細胞の成長を促し、血液をサラサラにして脳の血流をよくし、脳に悪いとされる活性酸素を除去する働きがあります。また脳内の血流がよくなり、脳に十分な酸素や栄養が行きわたることで、脳の働きがよくなり集中力や記憶力も向上します。

「臭み」を理由に魚を嫌う子どもも多いです。小山さんによると、魚に塩をふって10分程度置いておくと臭みの成分がふくまれた水分がでてくるので、これをキッチンペーパーでしっかりふきとることが、臭みを消すポイントだそうです。また調理方法では、牛乳に漬けたり、カレー粉やケチャップなどを上手に使うことで、臭みを消すことができます。

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『頭のいい子が育つ食事』(小山浩子:著)79ページより

魚を食べてDHAをとることができない赤ちゃんの場合は、母乳育児のお母さんであれば、お母さんが毎日、1食は魚料理をとることで、母乳からDHAをとらせることが可能です。また、たいていの市販のミルクにはDHAが母乳に近いバランスで含まれるよう配合されているので、ミルク育児中のお母さんも安心です。

・大豆〈脳の記憶力に関わるレシチン〉

大豆に含まれる「レシチン」は、脳の活動を支える神経伝達物質で記憶力に関わっている「アセチルコリン」の材料です。つまり、大豆をしっかり食べることで、脳の情報の伝達活動が活発になります。さらに、大豆製品は現代人に不足しがちな、食物繊維をタンパク質と一緒にとることができます。

日本人は昔から大豆を利用した食品である豆腐や納豆、みそなどを多く食べてきました。そのため、私たちの体には大豆のタンパク質を消化する酵素を十分に備えていて、消化吸収の負担を少なく、効率よく体内で利用できるそうです。

乾燥させた大豆を戻して煮るのは、少し手間と時間がかかりますが、水煮やドライパック、蒸し豆などのすぐに使えて便利な加工製品を活用することもできます。また、子どもの好きなハンバーグのように、いつもは肉でつくるメニューの一部を大豆に置き換えることで、肥満予防にもつながります。

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『頭のいい子が育つ食事』(小山浩子:著)87ページより


・卵〈必須アミノ酸〉

どこの家庭の冷蔵庫にもある卵には、良質なタンパク質の元であり、食品からしかとることのできない9種類の必須アミノ酸がバランスよくそろっています。またビタミンAやB群、鉄分をはじめとするミネラルも豊富で、大豆と同じ、脳で記憶力をつかさどる神経伝達物質のアセチルコリンの原料になるレシチンも卵には豊富に含まれています。

卵は、調理のバリエーションが広いことも魅力のひとつであり、シンプルな卵かけごはんや目玉焼き、オムレツなど、子どもをあきさせることなくさまざまな料理で楽しませられます。その中で手軽でかつ、栄養の消化吸収率が高いのは「温泉卵(半熟卵)」。温泉卵は電子レンジで簡単につくれるので、以下のつくり方をマスターしてみてはいかがでしょう。

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『頭のいい子が育つ食事』(小山浩子:著)93ページより


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子どもの脳が大きく発達する最も重要な6歳までの期間、「脳をすくすく育てる」ために、まず毎日の食事に意識を向けてみてはどうでしょう。人気管理栄養士である著者が、0歳から中学生までの年齢別に食事や栄養のポイントを具体的にわかりやすく書いた本書は、わが子に「頭のいい子」に育ってほしいと願う親にとって役立つ一冊となるのではないでしょうか。