達成する人になるには「目先のことだけ」アプローチ法

先ほどあげた、挫折する人の4つのタイプに共通しているのは、「目標達成のための、行動そのものが理想論であったり、手をつけても継続することが難しいもの」となっていて、結果として目標に到達しない状況に陥っていること。

そこで佐藤氏が行き着いた目標達成の方法は、行動のレベルを思い切り落とし、「ほんの目先のこと」に取り組むことだ。本当にちょっとした目先のことを達成し、それを継続する。その達成感が自信となり、理想論であった目標達成のための行動に取り組むようになり、最終的に本来の目標に達成していた、というアプローチが、「普通の人」にとっての目標達成への近道なのだという。

たとえば英語学習だと、「TOEIC700点以上をとるために、(大変だけど)毎日2時間の勉強を頑張る!」ではなく、「毎日、単語を5個、熟語を3つ暗記し続ける」くらいの目先のことを達成する学習法に切り替える。もちろん短期的に、テストなどで結果がでることはないが、日々、単語や熟語を覚えた行動の事実と達成感は、いずれ本来の目標達成へとつながるのだ。

もちろんビジネスの現場では、こんな悠長なことを言っていられないかもしれないが、何もやらなければ何の前進もないまま終わってしまう。究極的には今はこの小さな成果で満足しよう! と割り切って、挫折しにくい体質に徐々に変えていくことが重要だ。

「魔法のシート」を使ってみよう!

このように「目先のことだけ」に取り組むことを確実に実行するために、佐藤氏は「魔法の達成シート」を開発した。

このシートは目標達成までの、やる気に満ち溢れている「高揚期」、そのあとに来る「挫折期」、挫折期のあとに取り組む「目先期」そして最後にやる気が浮上していく「推進期」を4つのステップとして、1枚のシートの中にそれぞれの行動を記入していくもの。シートに記入していく大まかな流れは、次の通り。

【ステップ1:高揚期】
1. こうなったらいいなという目標を達成した未来のハッピーな自分や他人(第三者)の姿を記入。
(絵が得意な方はイラストや図を記入する欄もあります)
2. 「ハッピーな姿」を実現するために具体的に「やるべきこと」を記入。

p77すごいシート
魔法の達成シート(本書77ページより)

【ステップ2:挫折期】
3. 2~3週間後に“2”の取り組みや進み具合を確認し、できなかった「言い訳」を記入。挫折する自分を受け入れる。

【ステップ3:目先期】
4. 三日坊主の自分でもできそうな、「目先のこと」を記入。

【ステップ4:推進期】
5. 少しでも変化が出たら、何でもよいので「自分をほめたり、変化したこと」を記入。
6. 今の習慣の中で「やめてもよいこと」を記入し、「時間がない」を解決する。
7. 最後に最初に目指した目標を見据え、本来の目標達成のためにやるべきことを記入。

 「7. 目標達成のためにやるべきことを記入」まで来たら、あとは実践するのみだが、途中で挫折しそうになったら、「3. できなかった言い訳を書く」に戻り、その時のレベルでできる目先のことからコツコツと始めよう。このシートに行動を書いて見える化し、無理せず「挫折して当たり前」といった気持ちで、少しずつでも確実に継続することが、いつか必ず目標達成につながるのだ。

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数多くの目標達成の方法が書かれた書籍があるが、それらは「天才型」の人でないと真似するのが難しいノウハウも多い。一方で、「目先」の自分ができることを、確実に実行し、継続していくことで、目標に近づいていくコツが書かれた本書は、何度も目標達成に挫折したことのある「普通の人」にとっても無理なく取り入れられる一冊だといえるだろう。