トヨタ系列の日系企業を皮切りに、フィリップモリスやマスターカードなど10社での経験を経て、現在はコンサルタント、大学教授、著者という「三足のわらじ」を履く理央周(りおう めぐる)氏。知人たちからよく「いったいいつ寝ているのですか?」と聞かれるのだとか。仕事だけでも十分に忙しいはずなのに、料理や映画鑑賞といった趣味もおおいに楽しむ姿をSNSなどで発信しているので、「いったいどこに時間があるんだろう?」と不思議がられるそうです。

一方で多くのビジネスパーソンは、「毎日残業でタクシー帰りもしばしば」「仕事に追われ自分の時間がとれない」「周囲の人より長時間働いているのに思ったような成果が出ない」といった悩みを抱えています。

いったい、どこが違うのでしょうか?

「なにをやめて、なにをやるか」を考えて時間を使うことが、現状を変えるための最短ルートとなるのです。したがって時間を有効に使うには「やるべきことを明確にする」ことから始めなければなりません。
(『仕事の速い人が絶対やらない時間の使い方』「はじめに」より)

どうやら、限られた時間を有効に使って仕事もプライベートも存分に楽しむためには「やめなければならないこと」があるようです。理央氏の著書『仕事の速い人が絶対やらない時間の使い方』から、そのヒントをいくつかもらいましょう。

期限と所要時間のないToDoリストをやめる

多くのタスクをこなすビジネスパーソンにToDoリストは必須。ほとんどの人がそれぞれのやり方で、やるべきことや予定を書き留めていることでしょう。

しかし、「やるべきこと」しか書いていないToDoリストでは不十分です。少なくとも書いておきたいのは、その仕事の締め切りや期限。さらに「仕事の速い人」は、所要時間を見積もって一緒に書いているそう。たとえば、「10日締切、資料最終チェック(30分)」というようにです。

それぞれのToDoの所要時間を見積もっておけば、仕事全体のボリューム感を把握できます。それが一日の中で予備的な時間を確保することにもつながり、突発的に入ってくる仕事にも対応できるようになります。また、実際に費やした時間と照らし合わせることで次の仕事にも活かすことができます。

ToDoリストには期限と所要時間を必ず入れましょう。
(以上、20~23ページより)

机やPCのデスクトップに不要なモノを置くのをやめる

デスクが散らかっていていいことはありません。モノ探しに時間がとられるし、上司に求められた資料がすぐに出てこなければ信頼度も下がります。それに、仕事に没頭しているときに必要な道具、書類などが見当たらないと、集中力が一気に途切れてしまいます。

散らかっていれば「片づけなければいけない」と思うのが普通ですが、「実はそれは間違っている」と理央氏。散らかるのは、そもそもムダなものが多いからだ、というのです。

この状態を解消するには、ドラッカーが説く「体系的な廃棄」をあてはめてみるのが有効だそう。それは、次の3つのプロセスで行われます。