「“段取り”はすごく使い古された言葉ですが、段取り上手とそうでない人とでは、人生が大幅に違うのです」。著書の中でそう述べているのが、経営コンサルタントとして活躍し、今までに9000人以上の経営者を見てきた野田宜成氏。

仕事の出来る人は物事を上手く進めるために必要な準備として、常日頃から「段取り」を欠かしません。また、段取りの上手な人は有限な時間を無駄にすることなく、結果につなげるのだとか。野田氏の著書『こいつできる!と思われる いまどきの「段取り」』より、人生において大切な能力の一つである「段取り」のポイントについてあらためて見てみましょう。

段取りは何よりも優先順位が決め手

「段取り」をよくするには、物事に必要な時間を正しく見通し、それぞれに優先順位をつけ、上手に時間を配分しなければなりません。なぜなら私たちが、やりたいこと、しなくてはいけないことを全部やりきるほどに時間は無限ではないからです。

まず、優先順位について考えてみましょう。

A. 重要なもの×緊急なもの
(締めきりのある仕事・病気や事故・クレーム処理など)

B. 重要なもの×緊急ではないもの
(人間関係作り・準備や計画・勉強や自己啓発など)

C. 重要でないもの×緊急なもの
(重要でない電話や会議・突然の来訪・みんながやっていることなど)

D. 重要でないもの×緊急でないもの
(見せかけの仕事・単なる遊び・待ち時間など)

以上の4つのものがあったとして、あなたが優先順位をつけるならどの順番にしますか? 

優先順位の1番目はA、4番目がDというのは、疑う余地もないと思います。では、残りのBとCのどちらが優先順位が高いかというと……、正解は2番目がBで3番目がCです。

「重要でなく緊急なもの」とは、たとえば店頭でお客様を接客中に鳴る電話。「今すぐ出なければ!」とそちらを優先させてしまいがちですが、目の前にいるお客様を待たせて電話に出るのは間違いです。

「本当に重要なことは何か」を常に考えるクセをつけることが大切です。また、緊急ではなくても重要なことを先に行なうことで、前倒し、前倒しで考え行動するようになります。結果として、前もって準備する習慣がつき、準備不足で緊急で対応することの多いCの領域の仕事を減らすことにもつながります。

必要な時間、ムダな時間の見極め方

「段取りがいい」と評価される人は、有限な時間をコントロールし、上手に時間配分ができる人です。そのためには、必要な時間、ムダな時間の見極めが大切です。

必要な時間は、
・自分にしかできないもの 
・未来から見て今必要なことです。

ムダな時間は、逆で、
・誰もができるもの
・未来から見て必要のないことになります。
(本書、57ページより)

このように考えれば正しく見極めることができます。本当に必要な時間を見極め取捨選択することを、常に意識しましょう。