人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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大曲の旧池田氏庭園

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2025/10/07 10:49

旧池田氏庭園入口

10月に入ってさすがに涼しくなり、最高気温も30℃は越えなくなってきた。地方を旅する際には公共交通機関のない所に行くことも多く、昨今の猛暑では目的地まで歩いて行くのが厳しい。従って、涼しくなった今はベストシーズンである。

ということで早速東北方面に出かけて来た。まず秋田新幹線に乗り、大曲駅で降りる。大曲は夏の花火が有名で、花火大会当日には大曲近郊だけでなく、秋田市や盛岡市のホテルも満杯になるという。駅には打ち上げ花火の玉のモニュメントがあり、町には「花火通り」もある。

今回の目的は駅から4km弱ほど離れたところにある旧池田氏庭園である。交通機関はないため歩いて行くしかない。少し歩くと、水田の向こうに木の茂っている場所がみえる。これが豪農池田家の屋敷跡である。

池田家は秋田県を代表する豪農で、明治時代の13代文太郎は山形県酒田市の本間家、宮城県石巻市の斎藤家ともに東北三大地主といわれた。田圃だけで1200ヘクタ―ルを所有、小作人は1250人もいたという。なんと池田家だけで社会人野球チームを所有し、戦前には秋田県の実業団野球大会で優勝したこともあるというから驚きだ。とにかく戦前の豪農はレベルが違う。

庭園

家紋をかたどった同家の六角形の敷地は、正門が薬医門で、周囲には800メ―トルに及ぶ石垣の濠がある。戦後、母屋は焼失したが、残された庭園は池田氏庭園として平成18年国の名勝に指定され、大正11年に建てられた二階建ての洋館も平成29年に「旧池田家住宅洋館」として重要文化財に指定されている。

洋館
洋館内の玉突室
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