人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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佐原の伊能家

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2018/09/03 10:23

佐原の観光船

先日、千葉県の佐原に行ってきた。佐原はJR成田線でも行けるが本数が少ないため、東京駅南口のバスターミナルから出る高速バスのほうが便利だ。水郷として有名だが、残念ながら連日の猛暑で水量が少なく観光船の運航は中止だった。

さて、佐原といえば伊能忠敬が有名。今年は没後200年ということもあって、いろいろなイベントも開催されている。50歳で江戸に出て本格的な天文学の勉強を始め、55歳で全国測量を開始するという生き方は、寿命が長くなった現代人の人生の指針として注目を集めている。

この伊能家は伊能三郎右衛門家といい、江戸時代から物資の集積地として栄えた佐原を代表する名家の1つ。豪農で酒造業も兼ね、銚子から利根川を遡って江戸に向かう物資の中継地として川船運送も手掛けていた。

忠敬が養子として家を継いだ頃には経営が傾いていたが、10年かけて伊能家を建て直しただけではなく、年間の収益が1200両を超すという豪商に発展させたうえで長男に家督を譲り、自らは学問に専心した。

伊能忠敬旧宅

なお、忠敬没後9年目の文政10年(1827)に、孫の忠誨が21歳で病死したため伊能三郎右衛門家は一旦断絶。かわって伊能茂左衛門家が伊能一族の当主となり、幕末に茂左衛門家の娘が夫婦養子となって三郎右衛門家を再興している。

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