人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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恵林寺と快川国師

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2023/07/04 10:36

大河ドラマ「どうする家康」は、そろそろ武田氏滅亡が近づいてきた。今回の武田勝頼はやたらカッコいいのだが、史実はまげられずまもなく天目山で自刃するはずだ。

長生きだった家康に対してドラマ全体の進行が遅いため、今後は歴史上の有名なことでも、家康と直接関係のないシーンは割愛されることが予想される。従って、武田氏滅亡の際に起きた有名な恵林寺での快川紹喜のエピソードも描かれない可能性が高い。そこで、一足先に恵林寺を訪れて来た。

快川紹喜は正親町天皇から「大通智勝国師」の称号を賜った高名な禅僧。美濃守護土岐氏の一族の出ともいわれ、武田信玄に招かれて恵林寺の住職となっていた武田氏滅亡の際、快川国師は六角義賢の子の義定を匿っており、織田勢からの引き渡し要求を拒んだ。

すると信長の嫡男信忠は、山中の僧侶ごと恵林寺を焼き尽くした。その際に快川国師は三門上に籠り、「心頭を滅却すれば火も自ずから涼し」と言い放ったという。

恵林寺は夢窓国師によって開かれた禅寺で、武田氏の菩提寺でもある。JR塩山駅から西沢渓谷行きのバスで20分ほどのところにあり、国の重要文化財である四脚門(赤門)と県文化財指定の三門が迎えてくれる。この三門には、左右に「安禅不必須山水」「滅却心頭火自涼」と掲げられている。

本堂の裏側にある庭園は国の名勝指定を受け、夢窓国師による築庭の代表作として有名。

また、付近は里山の風情を残しており、北側の放光寺付近まで散策するのも楽しい。恵林寺と放光寺の間では西藤木の水車を見ることもできる。

バスの本数が少ないため、帰りは塩山駅まで歩いて戻った。向嶽寺などに立ち寄りながら1時間ほどで着いたが、甲府盆地なので猛暑の時期は避けた方がよさそうだ。

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