では、独立してうまくいく人といかない人は何がちがうのか。編集プロダクション代表を務めながら、文化人、経営者、起業家など2,000人以上のインタビュー実績を誇る藤𠮷豊氏が、自らの多様なビジネス経験で培ったノウハウと“選ばれる人”たちの行動習慣をまとめた書籍『仕事がとぎれない個人事業主・フリーランスがしていること』からピックアップしてご紹介します。
独立してうまくいく人といかない人は何がちがうのか
ライター・編集を生業としている僕は仕事柄、たくさんの個人事業主やフリーランスと一緒に仕事をすることがあります。士業の方にお会いしたり、一線で活躍する事業者を取材する機会も多く、経験的に「仕事がとぎれない人」「またお願いしたいと言われる人」には、共通点があると感じています。
たとえば、「仕事が長く続く個人事業主」の多くは、変化を恐れず、自分の課題を受け入れ、改善を続けています。一方、「仕事がとぎれがちな個人事業主」には、行動力不足や自己管理の甘さといった共通点があります。
もし、あなたが独立することを迷っていたり、独立したものの仕事がないなど不安や悩みを抱えているのなら、自分の課題を知り、対策を用意しておくことで、事業を軌道に乗せるヒントが見つかります。
仕事がとぎれやすい人の10の特徴
では、仕事がとぎれやすい人にはどんな特徴があるのでしょうか。ここに簡単な自己診断を御用意しました。この10項目のうち、あなたにいくつ当てはまるか確認してみましょう。そこから課題が見えてきます。
(1)行動量が少ない
行動量が少なかったり、仕事に取りかかるのが遅れると、チャンスを逃しやすくなります。毎日のタスクをリスト化し、目の前のタスクに集中する習慣をつけましょう。
(2)他人に頼れない
サ ポートを求めることができないと、孤立しがちです。納期が守れず、信用を失うこともあります。小さなお願いからはじめ、人を頼る練習をすることが大切です。
(3)他責思考に陥りやすい
個人事業は自己責任が基本です。失敗を他人や環境のせいにする人は、成長のチャンスを逃してしまいます。問題が起きたときは「自分に何ができるか」を考えましょう。
(4)失敗や変化を恐れる
失敗経験が少ない人や完璧主義者は、壁にぶつかるたびに心が折れやすいものです。小さな挑戦を繰り返し、失敗を学びとして受け入れる姿勢を養えば、不安を克服できます。
(5)人間関係を避けがち
他者との関係を避けてしまうと、信頼を築く機会を失います。コミュニケーションスキルを磨き、相手を理解する姿勢を持つことで、人間関係がスムーズになります。
(6)自己投資を怠る
新しいスキルを学ばないと、競争に遅れるリスクが高まります。定期的な学習や研修に時間を割くことで、時代に合わせた成長が可能になります。
(7)行き当たりばったりで計画性がない
目標や計画を立てないと、方向性を見失いやすくなります。具体的な目標を設定し、進捗を定期的にチェックする習慣をつけましょう。
(8)短期的な利益を求める
納期後すぐに入金があるわけではないため、短期的な収入に頼ると資金繰りが苦しくなります。支払いサイクルを把握して、ゆとりのある資金計画を考えましょう。
(9)健康管理をおろそかにしやすい
健康をおろそかにすると、事業を長く続けることが難しくなります。適度な運動や十分な睡眠、バランスの取れた食事を習慣にしましょう。
(10)「好き」にこだわりすぎる
自分の好きなことに固執しすぎると、顧客が求めるものを提供できなくなります。相手が望むものを理解し、その上で自分の好きなことを活かす工夫をしてみましょう。
あなたは仕事がとぎれないタイプ?——自己診断の目安
いかがでしたか? この診断は、あくまで現時点での状況を把握するためのものです。課題を受け入れ、改善を続けていく姿勢があれば、必ず前に進めます。焦らず、自分を信じて、着実に行動していきましょう。
【自己診断の目安】
●1〜3個当てはまる場合 ⇒ 改善の余地あり
適切な努力を積めば、事業を軌道に乗せることが可能です。
●4〜6個当てはまる場合 ⇒ 難しい可能性が高い
具体的な改善計画を立て、優先順位をつけて取り組む必要があります。
●7個以上当てはまる場合 ⇒ 現状では非常に厳しい
個人事業をはじめる前に、自身の課題を徹底的に見直すことが求められます。
拙著『仕事がとぎれない個人事業主・フリーランスがしていること』では、個人事業主・フリーランスとしてオファーが絶えない人、「またあなたと仕事がしたい」と言われ続ける人は、何を考え、どう行動し、どんなリスク管理をしてきたのか——さまざまな事例から仕事を継続させるためのヒントをご紹介しています。
独立開業や副業を検討中の人はもちろん、すでに事業をしている人にも役立つ内容です。よろしければ、参考になさってみてください。
◆著者プロフィール:藤𠮷 豊(ふじよし ゆたか)/ 株式会社文道 代表取締役
神奈川県相模原市出身。大学卒業後、大手ゲーム会社に入社し、社会人としてのキャリアをスタート。その後、編集プロダクションへ転職。昼夜問わず雑誌編集等の仕事に没頭するも、業績悪化により倒産を経験。大企業と中小企業、さらにはホワイト企業とブラック企業の両方で働いた経験から、多様なビジネスの実態を身をもって学ぶ。その後、自動車専門誌の編集部に職を得て、2誌の編集長を歴任。企業の内側からメディアのしくみを学んだあと、2001年に独立、フリーランスとなる。文化人、経営者、アスリート、タレントなど、インタビュー実績は2,000人以上。2006年以降はビジネス書の編集協力に注力し、200冊以上の書籍制作に従事する。2018年には、編集プロダクション時代の同僚・小川真理子とともに株式会社文道を設立。大企業、中小企業、個人事業主から法人経営まで、多様な立場を経験したことで得た視点を活かしながら、編集者、ライター、著者、セミナー講師など、自分らしい働き方を実践。共著書に『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP)、『社会人になったらすぐに読む文章術の本』(KADOKAWA)、単著書に『文章力が、最強の武器である。』(SBクリエイティブ)などがある。