スマホやパソコンさえあれば、誰でもカンタンに起業できる時代。でも、「起業って、お金や才能がある人がするものでしょ?」「私には何の取り柄もないし……本当にできるの?」。興味はあるのに、二の足を踏む人は少なくありません。では、どうすればいいのでしょうか。オンライン起業塾を主宰し、多くの成功者を輩出している山口朋子さんが、あなたの可能性を拡げる「8つのタネ」の見つけ方をお教えします。

※本稿は『おうちでカンタン! はじめる・稼げる「オンライン起業」の教科書』(山口朋子 著/イラスト:ありす智子)を一部抜粋・再編集しています。

あなたの可能性がお金に換わる

あなたは、いまどんな働き方をしていますか? 会社員? 派遣社員? 自営業? パートやアルバイト? それとも専業主婦(夫)でしょうか。「これからの時代、複数の収入源を持つことが大事だ」と、よく言われるようになりました。でも、急に収入は増えないし、何からどうはじめたらいいのかわからない人が多いと思います。

そのような方にお伝えしたいのは、「あなたの持っているちょっとしたスキルや経験をオンラインで売る方法」があるということです。あなたの知識や特技を「教えてほしい」と思う人はたくさんいます。自分が「当たり前」と考えていることが、実は起業・副業の素材となるのです。

逆の立場に立ったときのことを考えてみてください。例えば、あなたがゴルフやカメラを趣味ではじめたいとき、いきなりプロに習おうとはしませんよね? ちょっと詳しい人や少し前にはじめた友だちなどに教えてもらおうと思うのではないでしょうか。

長年第一線で活躍するプロ中のプロは、卓越した技術や真似のできないセンスを持っているかもしれませんが、そのレベルのことを知っても、むしろ初心者には役に立ちません。それよりも、自分より少し先にはじめたくらいの人のほうが、初心者にとって役立つ情報や技術を教えてくれることでしょう。

あなたが初心者のときの疑問や、つまずいた経験などを丁寧に教えてあげれば、それは価値になるのです。そう考えると、あなたが他人に教えてあげられることは、きっと1つや2つではないのではないでしょうか。

あなたにとって「こんなことみんな知っているよね」と思う情報が、他の人にとってはお金を払ってでもほしいものであるかもしれないことに、まずはどうか気づいてください。

「当たり前」の価値の見つけ方

では、どんなことがお金に換わるのでしょうか? 「自分にとって当たり前のことが大事」と言われても、なかなかその価値に気づきにくいものです。そこで、いまの自分が提供できるものを8つのルートから探っていきましょう。あなたにとっての、どの「当たり前」に価値があるのか、見つけ出してみてください。

この時点では「私はコレで起業する!」と決めなくてもOKです。むしろ、まだ決めないでください。はじめの一歩の時点で起業のタネを決めつけてしまうと、可能性の幅を狭めてしまいかねませんし、必ずしも市場のニーズと合致しないこともあります。

この時点ですべきは、自分のやってきたことを棚卸ししたり、普段どんなことに時間やお金を使っているのかなどを見直すことです。では、順にご紹介しましょう。

●ルート1 あなたの「趣味」がタネになる

いろいろな定義があると思いますが、私は趣味を「お金と時間をかけて継続的にやっていること」と定義します。多趣味な人も無趣味な人も、まずは自分が継続的にお金と時間をかけてやっていることを書き出してみましょう。 例えば、知り合いの鉄道マニアの男性は、鉄道で移動すること自体が好きな乗り鉄でも、列車を写真に収めることが好きな撮り鉄でもなく、観光列車のマニアです。電車に乗りながらその地方の美味しいご飯やスイーツを食べるのが好き、というグルメな人です。

ご夫婦で日本中の観光列車に乗って飲み食いしたそうですが、それだとお金が出ていく一方です。そこで彼は「観光列車専門家」としてブログを立ち上げ、各地の観光列車についてのうんちくを語りはじめました。

すると、日本全国のどこかで新しい観光列車が走り出すと、彼のところにテレビ局や雑誌などのマスコミがやって来て、「観光列車専門家」として取材を受けるようになったのだとか。そしていまでは、それがけっこうな仕事になっているそうです。

●ルート2 あなたの「得意」がタネになる

得意なことが起業のタネになるというのは、比較的イメージしやすいのではないでしょうか。うまくいく人たちに共通しているのは、得意なことに対して、普段から際限なく時間をかけられる点です。

これは、先ほどの趣味と同じですね。趣味や得意なことについては、本人にとっては当たり前すぎて、それが収入を生むとは考えにくいかもしれませんが、見方を変えるとお金に換わることがあります。まずは、自分がどんなことに時間やお金をかけているのか、人によく聞かれることは何なのか、一度すべて書き出してみましょう。

例えば、いまどきの会社員は誰でもExcelは扱えるかもしれませんが、私は全然ダメでした。もともと営業の仕事をしていて、それから住宅設計に携わって、その後に起業しているので、実はほとんどExcelに触ったことがなく、Excelで計算ができること自体を知らなかったのです。

そんな私の様子を友人が見るに見かねて、「知り合いにExcelがすごく得意な人がいるから、簡単な操作についてレクチャーしてもらったらいいんじゃない?」と、Excelの達人を紹介してくれました。1回90分3000円で、数回にわたり、表計算の仕方や便利な使い方などExcelの基礎をみっちり学びました。

実は、このExcelの達人は、いわゆるプロとして教えているExcel講師というわけではなく、「友人に頼まれたから」と好意で私に教えてくれたとのこと。でも私にとっては、お金を払ってでも教えてもらってよかったと思える内容でした。一方、彼にとっては「Excelが得意」が収入につながるということが驚きだったようです。

●ルート3 あなたの「好き」がタネになる

「趣味」と「好き」は、どこで線を引いたらいいのか、迷うところではありますが、まずは例を挙げてみましょう。

絵を描くのが好き、キラキラしたアクセサリーが好きなど、「好き」にもさまざまなものがあります。私が教えている起業塾では、好きなことで起業している人が多いのですが、ユニークな例に「家計簿好き」な人がいます。彼女いわく、家計簿をつけるだけで2年間に300万円の貯金ができたのだとか。

貯金の経緯や家計簿のつけ方などをブログで公開していたら、「家計簿は苦手だけれどつけたほうがいい」と思っている人が多いせいでしょうか、ブログのページビューが激増して、アドセンス収入だけでも何十万円かの収入を生みました。

そればかりでなく、ブログを見た出版社から連絡が来て、なんと出版が決まりました。いまや彼女は家計簿のコンサルタントとして講演会でも引っ張りだこ。本の印税とブログのアドセンス収入、家計簿のコンサル、講演会の講師料、と4つの収入源があり、ご主人の収入を超えてしまったそうです。「ただでさえ貯金が好きなのに、ますますお金が入ってきて楽しい」と話していました。

●ルート4 あなたの「資格」がタネになる

先ほどの家計簿好きの方は、いわゆるファイナンシャルプランナーなどの資格があるわけではなく、ただの主婦でした。「出版までするような専門家なら、資格を持っていなくてはいけないんじゃないか」と考える人もいるかもしれませんが、実は特定のジャンルを除いて資格は必要ではありません。

むしろ、「資格さえ取れば収入につながる」という思い込みは危険です。がむしゃらに勉強して苦労して取った資格を掲げて開業したものの、開店休業状態になっている例を、私はいくつも見ているからです。