3. 落ちたら最後、抜け出すのは至難の技。抜け出し、二度と落ちないようにするためには、これまでにないアプローチを使う必要がある

「最悪のことが起きる前に抜け出せばいい」

誰しもがこのように考えるものです。しかし、いざ最悪の事態が目の前に迫ったとき、ありがちなアプローチを使ったところで抜け出すことは容易ではありません。

アレックスの場合もそう。計画を立ててそれをきちんと守り、どんなに大変な時でも自制心を働かせ借金を返済すると決めた後も、結局はお金の魅力に抗えず、かえって借金を重ねる結果に――。そこで、1つのアプローチとしてヴィクトリアは「借金返済お助けヘビ」という、独自のスコアボードを作ることを提案します。

方法は簡単で、ロール紙に長い胴体のヘビを書き、借金1000ドルごとに、線で区切りをいれていきます。その長い長いヘビを部屋の中の目につく場所に張り出し、少しでも返済するたびに、ヘビの胴体に入れた区切りの線を切っていくのです。

これを取り入れたことで、形としてあやふやだった借金の総額、返済の目標を実感することができるようになり、アレックスの行動も少しずつ変わっていきます。

そもそも、罠にかかる人は正しい道に戻るための意志が弱い傾向にあります。だからこそ、正当法とは違うアプローチに目を向けてみる必要があるのでしょう。

4. 目標に向かって前進するのを不可能にし、私たちの行動を制限する

「金・借金の罠」に限らず、自身の意見や考え方が正しいと決めつけることによって人間関係を壊してしまう「夫婦・恋人関係の罠」、取るに足らないものに夢中になり、目標を見失ってしまう「焦点の罠」、仕事に対して情熱を失ってしまう「キャリアの罠」など、わたしたちの行動を制限するのが、罠の罠たるゆえんです。

気づけば引き寄せられ、入り込んだら最後、つかのまの心地よさに浸っているうちに目標を見失ってしまう。

だからこそ、私たちは罠に対して、もっと神経をとがらせる必要があるのです。思いどおりの状態(自分が望む状態)になるために、現在の状況を認識する。それが罠から遠ざかるための第一歩といえるのです。

著者は『7つの習慣』の著者、スティーブン・コヴィー氏の息子

著者の1人であるデビッド・M・R・コヴィー氏は人材教育・研究の分野における世界的に著名な専門家として知られています。また、人生哲学の決定版『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コヴィー氏の三男として生まれ、その考え方の中で育ち、思想を受け継ぐ人物です。

同じく人材教育・研究の分野における専門家である、スティーブン・M・マーディクス氏と強力なタッグ組み、読者が仕事や人生で成功しやすくなる原則と、それを妨げる7つの落とし穴(罠)を伝えたいという思いから本書が生まれました。

人生の定理ともいうべき成功原理や法則は数多くあります。その一方で、その成功を妨げる人生の落とし穴に人々は知らず知らずのうちに陥るものなのです。人生にひそむ罠を回避するためには、まず、それが「罠だ」と気づく必要があります。

主人公アレックスの気づきを、自分の経験と照らし合わせたとき、すでに陥っている・これから出くわすかもしれない罠に気づく人もいるかもしれません。

罠は、きわめて魅惑的であり、はっきり罠とわかるとは限りません。物語のなかで、アレックスはヴィクトリアとの対話を通して自身が陥っている罠に気づきます。さらに、そこから抜け出すことを選択し、行動を起こしていきます。この物語の目的は、身近に潜む7つの罠がどのように私たちをとらえ、どう抜け出せなくするかという点に、スポットライトを当てることにあります。

さらに本書は様々な罠から抜け出す方法を具体的に明示し、私たちを導いてくれます。

ときに反発しながらもアレックスをサポートしてくれる2人の可愛い子どもたち、罠から抜け出そうとするたびにさまざまな誘いでアレックスの邪魔をする同僚など、個性豊かな登場人物たちも本書の魅力の一つです。

人生の落とし穴を明らかにし、人生を輝かせる手助けをしてくれる『やってはいけない7つの「悪い」習慣』。読み終えたとき、あなたの人生にとって「本当に大切なもの」が見えてくるのではないでしょうか。