グローバル化がますます進行するなか「子どもの視野・世界を広げる教育」の必要性が謳われていますが、夏休みはそれを実践する絶好のチャンス。

旅を通じた育児・教育メソッド「旅育」の提唱者・村田和子さんの著書『家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ 旅育BOOK』から「家族旅行で子どもの世界を広げる」具体的な方法をみてみましょう。

広がりづらい「子どもの世界」。だからこそ家族旅行が大事

日常的に会う家族以外の人といえばせいぜい学校や習い事の友達・先生くらいという子どもが多くいます。安全面からみても「見知らぬ人とはできるだけ接触しないほうがいい」とされていることもあり、子どもの視野や世界は想像以上に広がりづらいものです。

様々な未知の可能性を秘めた子どもの世界を広げ、能力を伸ばすには、親から子への関わり方が非常に重要だと村田さんはいいます。

そこで、提唱しているのが「旅行の子育てへの活用」です。家族旅行は子どもが未知の世界を五感で体験し、視野が広がるのはもちろん、旅行を通じて、親のリフレッシュにも最適。トラブルなどがあった場合も、それを乗り越えることで子どもの生きる知恵になります。

星野リゾート代表・星野佳路氏も、10歳のときに祖父母に連れられてアフリカ旅行をした経験を引き合いに「自分の住んでいる世界からは想像できない世界があることを肌で感じ、また、現地におけるマイノリティ(少数派)という経験から、多様性が当たり前のこととして受け入れられるようになった」と語っています。

旅行を学びの旅にするには、親子のコミュニケーションが肝心

村田さんは著書のなかで、

最近は、自治体や各種団体、施設等が、全国でこういった学びのプログラムを開催しています。企業が社会貢献活動の一環やPRとして実施するキャンプや工場見学なども、社会を知り、自然環境を考える内容が多く人気です。子どもが未知の世界や人と触れあい、実体験から学ぶ選択肢が増えるのは喜ばしく、大いに活用したいところです。

ただこういったプログラムは、旅育のツールであって、参加しただけでは本来の「旅育」として充分とはいえません。

たとえばプログラムへの参加も、親主導で決めて参加させるのと、事前に子どもの意思を確認、あるいは子どもがプログラムを選んで参加するのとでは、同じ内容でもモチベーションや得られることが違ってくるのは想像いただけるでしょう。

「旅育」で一番大切なのは、親の子どもへの関わり方であり、親子のコミュニケーションです。いつもの旅を学びの旅にするには、親のちょっとした心がけが大切であり、特に子どもが小さなうちは、日常のお出かけの中で実践できることがたくさんあります。

(P.49-50より)

と語り、「言葉を理解し始める3歳~脳の基礎ができあがる9歳ごろまでが、とくに旅育の効果が見込める年代」だとしています。

具体的に旅育を実施する方法とは?

では、旅育について具体的に見ていきましょう。村田さんの著書では「出発前」「旅行中」「帰宅後」の3段階にわけて具体的な25のTIPSが紹介されていますが、そのうち「出発前」から一部を要約して紹介します。

近場でのおでかけでも旅育はできる!

旅行というと、交通から宿泊まで大掛かりなものをイメージしがちですが、村田さんは「どこに行くかよりも何をするか」が大事であり、電車で気軽に行ける範囲でも効果は十分にあるとしています。

家族旅行で大切なのは「どこへ行くか?」よりも、「何をするか?」です。「家族旅行は贅沢で、お金と時間をかける余裕がない」という声を聞きます。でも「何をするか」という視点で探すと、意外と近場で経験できることは多く、さほどお金や時間をかけずとも旅育はできます

(中略)

特にお子さんが幼い(未就学などの)うちは、遠出をしなくても大丈夫。たとえば電車で少し離れた「はじめての場所」へ行くだけでも、子どもにとっては未知の刺激的な世界です。公共のマナーを学び、旅育メソッドを意識して親子で決めたテーマに取り組むことで成功体験を積み、自信へつなげることもできます。

日常的におでかけする場所でも、特別なイベントがあれば子どもにとっては、いつもと違う刺激になります。情報のアンテナを張っておくのも大切です。

(P.74より)

子どもを計画に参加させ、主体性を持たせた「旅」にする

ただ漫然とでかけるのではなく、テーマ設定をすることが学びの旅には大事だといいます。子どもが日常的に興味を持っていること・疑問に思っていることがあるのなら、それらを探求するテーマにするのがお勧めと、村田さんは述べています。

また、実際の旅行計画も親子で行い、そのときに子どもが出した意見を尊重することで、子どもにとっては連れて行かれる旅ではなく「自分の旅」となり、主体的に行動するようになるといいます。

旅の計画や準備の際には、旅育メソッド(1)でも紹介した「旅の作戦会議」をしましょう。子どもの年齢によって、内容や進め方は違ってきますが、共通して重要なのは子どもが出した意見は尊重をすること

当たり前だと思われるかもしれません。でも、旅には「予算」「日程(時間)」の制限があるのです。子どもの発想は自由ですから、大人の事情で「難しい」となってはせっかくの旅育が台無しです。

具体的には子どもが小学校低学年ぐらいまでは、親が予算や日程を踏まえた案を複数用意し、子ども達に作戦会議で選んでもらうのがおすすめです。

(P.78より)


以上、旅育のメリットとノウハウの一部を簡単にご紹介しました。本書は、生後4カ月から親子で旅をし47都道府県をまわった著者が、代表をつとめるサイト“家族deたびいく”や、子育て雑誌やサイトで伝えてきた旅育メソッドの集大成となるものです。

また、ノウハウ以外にも「厳選! 旅育おすすめスポット」として全国から厳選した観光スポットを、具体的なテーマや旅育ポイントを交えながら、カラーページで紹介。星野リゾート代表・星野佳路氏が、自身の家族との旅を通じて、家族旅行や旅育の魅力を語るインタビューも掲載するなど盛りだくさんの内容です。ぜひ、お手に取ってみてください。

イベント開催決定!!

紀伊国屋書店・玉川高島屋店にて、本書の発売記念トークイベントが開催されます

日時:2018/7/22(日) 14:00~15:00予定
会場:紀伊国屋書店・玉川高島屋店 実用書フェアコーナー
定員・費用:先着15名、無料
お問い合わせ先:03-3709-2091
申込方法:7/5(木)より、店頭および電話にて予約開始

奮ってご参加ください!