3月13日、紀伊國屋書店新宿本店にて開催された『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』(日本実業出版社)の著者・山口拓朗さんの講演会レポート、後編をお送りします!

(前編はこちら)
(文責:日本実業出版社)


(後編)

4.同一情報はまとめて書く

4番目は、「同一情報はまとめて書く」です。

講演会写真②きょう私は、この講演会の冒頭でどんな話し方をしたでしょうか。たとえばこんな感じでしたか?

「えー、なにから話しましょうか、テンプレートについて、いやちょっと待ってください、一文一義というのがあって、あ、まあいいや、一緒に話をしますけど……」。

こんな話し方をされると、皆さんイヤになります。いろんな情報がわあっとくるから「何がいいたいんだろうこの人」となるのです。

私は冒頭で、「伝わる文章の書き方7つのポイントをお伝えします」といいました。これが大事なことで、相手に地図を渡すように、まず全体像を見せるんです。

最初にわたしが「7つ」といわずに話し始めていたら、「この人いくつ話すつもりだろう、10とか20とか?」と受け手は思います。そうなると受け取る準備ができないんですね。頭にも入ってこない。だけど7つと最初にいわれると準備ができるわけです。こういう伝え方を文章でも意識していただきたいんです。

今回出した本のなかでも「列挙型」という文章のテンプレートを紹介しているんですが、ビジネス文書に非常に使える型なんですね。また、書き手自身の頭の整理にも使える型ですので、ぜひ使ってみてください。

具体的には次のように使います。例文が長くて、読むのも嫌なんですが、仕方がない。読みましょう(笑)。

【例文】

筋トレをすると筋肉が増えます。姿勢の改善につながります。筋トレをするのが面倒くさいという人は少なくありません。生活習慣病の予防効果も期待できるのに実にもったいないことです。しかしその面倒くささを差し引いてもあまりあるメリットが筋トレにはあります。筋力低下による猫背に歯止めをかけてくれるほか、ボディラインののくずれも防ぐことができます。先ほど書きましたが筋肉が増えると基礎代謝が向上するのでやせやすく太りにくい体になります。それから筋肉がつくと血行が促進されるため胃腸の働きもよくなり(栄養吸収率が高まり)疲れにくい体になります。つまり疲労回復力のアップも見込めるのです。たかが筋トレされど筋トレ。不健康を自覚している方は試しに始めてみましょう。

要するに「筋トレをしましょう」という文章なんですが、どうでしょう。頭に入ってきますか? 筋トレ、何がいいんでしたっけ?

わあっと情報だけが出されていて、これがまさに「書き手が書きたいように書いた」状態です。読む人にどう受け止められるかということをまったく想像していないとこういう書き方になってしまいます。あるいは、書き手が頭に思い浮かんだことを次から次へと出していくとこういう文章になります。

この文章を、列挙型を使ってまとめてみます。

少し省略しますが、まず最初に、

・今回は筋トレをすることで得られる3つのメリットをご紹介します。

とまず「3つあります」と伝えてから、

・1つめは筋肉が増えることによる基礎代謝の向上です。

と書く。その後に細かい内容を説明する。

同じように「2つめは姿勢の改善です」「3つめは疲労回復効果です」と、書いていく。そして最後に、「たかが筋トレされど筋トレ」とまとめていくわけですね。このほうが断然頭に入りやすいはずです。