ネジザウルスって、ご存じですか?ネジくわえ(小横)

溝がつぶれてしまったり、サビて固まってしまったネジでも、ネジ頭をぐっとつかんではずしてしまう超便利工具です。2002年の発売以来、現在までの累計販売数は250万丁。「年間1万丁も売れれば大ヒット」とされる工具業界では、前代未聞の大ヒットを記録しています。

なぜ、こんなに売れるのか——。

『「ネジザウルス」の逆襲─累計250万丁の大ヒット工具は、なぜ売れ続けるのか』。本書では、ネジザウルスを開発した株式会社エンジニアの髙崎充弘社長が、こだわりの商品開発やゆるキャラを使ったユニークなプロモーション活動など、中小企業がヒット商品を生み出すためのヒントを披露しています。

本書を担当した編集者の目には、大ヒット工具の生みの親はどう映っていたのでしょうか。編集者自身に、髙崎社長の人となりを語ってもらいました。
(文:日本実業出版社編集部)


 

関西の名門校・甲陽学院を経て、東京大学工学部を卒業。造船業界の雄・三井造船でエンジニアとしてキャリアを積み、米国レンスラー工科大学に留学。やがて、家業の2代目社長となり、文部科学大臣表彰「科学技術賞」など、数多くの賞を受賞。そして、2013年には黄綬褒章を受章——。

エリート技術者から町工場の後継者への転身に成功し、数々の栄誉を手にした髙崎社長のあゆみは、まさに成功者の輝きに満ちています。少しくらい秀才のプライドを鼻にかけてもよさそうなものですが、髙崎社長にそんな様子はつゆ見えず、こんなことまでしちゃいます。
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 「昔から落ち着きのない子やったみたいで、子どものころはよく『おちょけ』って言われてました。そういう子やったからか、吉本新喜劇が好きでねえ。花紀京とか岡八郎が大好きで、吉本新喜劇だけはテレビで毎週、欠かさず見てました」

いつだったか、髙崎社長に幼いころの思い出を尋ねたとき、そんなふうに話していたのが印象的でした。

なるほど! 自分の頭部をネジ頭に見立ててネジザウルスの機能を説明してしまうほどサービス精神が旺盛な髙崎社長の原点は、吉本新喜劇にあったのか。同じく吉本新喜劇の桑原和男ファンだった私は、そのとき心中、ひそかに快哉を叫んだのでした。

ちなみに、「おちょけ」というのはお調子者といったニュアンスの関西弁です。