起床、食事、買い物、お風呂に入る、テレビを見る。
私たちは知らず知らずのうちに、日常の行動を習慣的、自動的に行なっています。しかし一方で、ダイエットや禁煙といった新しい習慣を続けるには、少なからず苦労がともない、習慣化する前に挫折してしまいがちです。
『30日で人生を変える「続ける」習慣』の著者である、古川武士氏は習慣化が難しいのは「習慣引力」の抵抗があるからだと述べています。「習慣引力」とは何なのかを中心に、私たちが3日坊主になってしまう理由を解き明かしましょう。

■ハミガキのように楽に続く、それが「習慣化」

習慣化とは、毎日のハミガキのように「意思や根性に頼らず、行動が自動的に継続されている状態」です。私たちの日々の行動の大部分は、習慣化されたものです。たとえば、英語の勉強をしながら数学の勉強ができないように、意識して行なえる行動は一度に1つのことにしかすぎません。
そもそも、習慣とは脳に作られたプログラムなのだと、古川氏は述べています。脳は一定期間繰り返し行なった行動は、無意識のうちに継続することができるよう、脳内にプログラムを作り上げます。つまり脳は、一定期間以上繰り返された行動を、「習慣」として記憶するのです。

脳からすると、ただ一定期間以上繰り返されたから習慣化しただけ。よい習慣でも、悪い習慣でも身についてしまいます。逆に、それさえ気をつければ、「習慣化」は自動的に行動を継続してくれる素晴らしいプログラムであり、より少ない努力で望む結果を手に入れることができる「魔法の杖」でもあるわけです。(28ページ)

■3日坊主を生む犯人「習慣引力」

さて、ここから本題です。なぜ、私たちは自分の続けたいことを習慣化できないのでしょう。それには人間がもつ「新しい変化に抵抗し、いつもどおりを維持しようとする状態」が大きく関係しています。私たちは変化から身を守ることで生存しています。そして、これと同じことが習慣化のプロセスでも起こっており、古川氏はその動きを「習慣引力」と呼んでいます。
習慣引力には「新しい変化に抵抗する」、「いつもどおりを維持する」という、2つの機能があります。ダイエットでなかなか食生活を変えられず、間食を我慢できずリバウンドしてしまうのも、この2つの機能が働いてしまっているからなのです。
一方で、新しい習慣を、一度「いつもどおり」と脳が認識するまで続ければ、習慣引力にしたがって簡単に維持することができるのです。

身体であれ、心であれ、いつもどおりを維持してくれなければ、変化の波に振り回されてしまいます。人間にとって、いつもどおりは心地よく、変化は脅威なのです。(31ページ)

(33ページ)