日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

2026/09/15 10:18

福島県の飯坂温泉に堀切家という豪農兼豪商があった。現在は飯坂温泉の観光交流拠点として一般公開されているというので訪れてみた。東北新幹線を福島駅でおり、福島交通に乗り換えて25分ほど乗ると、終点の飯坂温泉駅に着く。ここから有名な共同浴場鯖湖湯の前を通り過ぎて5分ほど歩いたところに旧堀切邸がある。


堀切家は若狭国の出で、戦国時代に梅山太郎左衛門治善が移り住み、出身地から「若狭」を名字に改めて付近を開発した。しかし、近くを流れる赤川がしばしば氾濫するため、その堀を切って流れを変え田地として開拓したことから「堀切」と呼ばれるようになり、そのまま名字にしたと伝えている。
江戸時代には質屋など手広く商売を営み大庄屋もつとめた。さらにも酒造を始め、鉄山経営も行い、白河藩からは名字帯刀を許されている。白河藩主松平定信が滞在したこともある。現在も敷地面積1230坪、建坪84坪とかなり広いのだが、明治13年の火事以前にはこの倍以上の敷地があったという。
明治維新後、堀切家は政治家を輩出、14代良平が県議などを歴任すると、15代善兵衛は衆議院議長や駐イタリア大使を務めた。その弟の善次郎は東京市長、内務大臣などをつとめている。明治・大正期の政治家はこうした地方の素封家の出の人物が多い。

