人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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名将渡辺監督と公家選手

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2015/07/13 13:28

熱戦が繰り広げられた保土ヶ谷球場(Photo by ウェルワィ/Wikipedia)

高校野球界を代表する名将・横浜高の渡辺元智監督が、今夏の大会を最後に引退することを発表した。

最後の大会ではシード校をはずれ、1回戦からの登場。初戦は、甲子園には出場したことはないものの県内では一定の実力を保っている光明相模原高との対戦で、試合が日曜日だったことから、保土ヶ谷球場には大勢の観客が詰めかけ、1回戦としては異例の外野も解放するという人気となった。

試合は、2安打完封で9-0の7回コールド勝ちと好発進。この試合で流れを引き寄せる2ランホームランを打ったのが、2年生で4番を打つ公家選手だ。「公家」と書いて「くげ」と読むのだが、江戸時代以前の公家には「公家」という名字はない。大名家に「大名」、将軍家に「将軍」という名字がないのと同じことだ。


では、「公家」の由来は何かというと、おそらく「久下」から漢字が変化したものだろう。久下氏は埼玉県熊谷市の地名をルーツとする一族で、鎌倉時代は幕府に仕えて各地に広がっている。

現在、「久下」は関東南部・福島・京阪神の3地域に多く、これは「公家」の分布と同じ。公家選手も会津若松の出身で、福島の久下・公家一族の出だろう。


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