人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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赤染衛門という名前

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2024/02/14 10:58

(画像はNHK公式サイトよりキャプチャ)

大河ドラマ「光る君へ」に、主人公まひろも通う左大臣源雅信の娘源倫子のサロンで、指導者的立場をつとめている赤染衛門が登場している。赤染衛門は歌人として知られた人物で、「百人一首」にも歌が入っているため子どもの頃から目にはしていたが、「~衛門」というのは男性の名前に見え、不思議な名前だと感じていた。

このドラマの主人公紫式部や、11日に初登場した清少納言がいずれも本名ではないように、赤染衛門も本名ではない。この当時、朝廷に仕えた女性たちは「女房名」という独特の名前で呼ばれていた。

女房名は、実家の姓と近親者の官職名をつなげたものが多い。たとえば清少納言は、清(せい)家と呼ばれた清原氏の娘なので「清」を名乗っている。「少納言」は官職に由来するのだが、誰に因んでいるのかははっきりしない。

では赤染衛門はというと、赤染衛門も朝廷に出仕しており、その名前も女房名である。本名はわからない。父は赤染時用といい、舟や軍衣などを赤く染める職にあった古代豪族の末裔である。赤染氏は中国北東部の燕(えん)からの渡来人の子孫と伝え、河内国を本拠としていた。

当時の赤染氏は中級の貴族となっており、父時用は右衛門志という官職ををつとめていたことから「赤染衛門」という女房名になったと思われる。こうした古代豪族の末裔は次第に淘汰され、朝廷からもみられなくなっていく。

 

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