人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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「まるたけえびす」と公家の名字

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2019/11/25 11:39

(photo by beeboys/Adobe stock)

先日のNHK総合「日本人のおなまえっ!」は、都道府県シリーズの第4弾京都特集。番組中で、京都人なら誰でも知っているとう「♪まるたけえびす……」という京都の通りの名を読み込んだ歌が紹介され、私がそのうち半分くらいは公家の名字になっていると話した。


(動画は【公式】京都水族館YouTubeチャンネルより)

平安時代中期以降、公家の大多数は藤原姓の一族で占められ、これに平氏、源氏、菅原氏を合わせた4氏でほぼ独占されていた。そこで、公家の家を家単位で区別するために名乗り始めたのが「家号」である。やがて、この家号が固定化されて名字に変化したのが、公家の世界における名字の始まりである。

同じ頃、東国の武士達の間でも名字を使用するようになり、「名字」という制度が広く定着していくことになる。家号の多くは、自らの邸宅のある町名を使っている。つまり、三条に住んだ公家は「三条」を、姉小路に住んだ公家は「姉小路」を家号とした。

そのため、「まるたけえびす」に登場する25本の通りのうち、竹屋、二条、押小路、姉小路、三条、六角、四条、綾小路、高辻、五条、六条、七条、八条、九条と、半分強の14本が公家の名字となっている。

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