人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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「光る君へ」で盛り上がる越前市

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2023/10/11 10:40

金沢から北陸本線で西に向うと、主要な駅では来年春の北陸新幹線敦賀延伸で盛り上がっている。福井駅では大規模な工事が行われ、新幹線開業に向けて急ピッチで整備が進んでいた。

主要駅には「新幹線敦賀延伸」の幟がはためていていたが、1ヶ所だけ新幹線よりも別のものを強く押し出している駅があった。それが福井県の武生駅である。武生駅は越前市の中心駅。もちろんここにも新幹線は停車する(越前たけふ駅)のだが、駅を降りたところにたくさん立っているのは「紫式部」の幟である。

紫式部は来年のNHK大河ドラマ「光る君へ」の主人公。紫式部は京の人だが、朝廷の中級官僚だった父は越前の国司となって当時越前の国府が置かれていた武生に赴任していたことがある。このとき紫式部もともに武生に降り、住んでいたのだ。

戦国時代を扱った「どうする家康」だと、その関連地は岡崎、浜松、江戸と移っていく。昨年の「鎌倉殿の13人」でも舞台は伊豆と鎌倉で、その舞台となった土地は観光客でにぎわった。それに対して都を舞台とする「光る君へ」では、舞台はほぼ京都市で一部宇治が登場するくらいだろう。京都は大河ドラマに頼らずとも多くの観光客が訪れおり、大河ドラマの影響はそれほど多くなさそうだ。

そこで、実際の大河ドラマで武生が話題になるのかどうかわからないが、越前市としては「光る君へ」の数少ない関連地として武生を売り出そうとしている。市内には紫式部公園があり、金色に輝く紫式部像があった。

公園内の池には釣殿が建てられ、靴を脱いであがることができる。この日は誰もおらず、釣殿に上がってゆっくりと池を眺めることができた。気分は平安貴族である。きっと来年は混むだろうから、今ならお勧めの穴場である。

釣殿からの眺め

ただし駅からは遠い。うまくバスの時間とあえばいいが、歩くと片道25分ほどかかるので注意が必要だ(筆者はかなり歩くのが速い)。

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