『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして3000件以上の取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所主宰。出版社で編集者・記者を務めたのちに独立。これまでライターとして3000件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「書かずにうまくなる段取り文章術」「論理的に伝わる文章の書き方」「好意と信頼を獲得するメール文章術」「すらすら書ける文章テンプレート活用法」等、その日から使える実践的ノウハウを提供。また、2016年より中国の5大都市で「SuperWriter養成講座」を定期開催中。

著書に『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(共に日本実業出版社)ほか多数。文章作成の本質をとらえたノウハウは言語の壁を超えて高く評価されており、中国、台湾、韓国など海外でも翻訳されている。

書き方より重要な「文章のパワー」の秘密

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2022/11/02 15:22

(photo by Bruce Mars/Unsplash)

一生モノのスキルになる!
『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法  <連載第57回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に精通する山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は「人を動かす文章」について。

「何を言うか」より「誰が言うか」

「ビジネスパーソンとして成長したいなら、毎日、日記をつけなさい」

あなたが「ウザい」と思っている上司から、チャットでこんな文面が届きました。あなたはどんなふうに思いますか?

まったく聞き耳をもたないか、あるいは、「うるさいわ! 人間的に尊敬できないあなたの説法なんて聞きたくもない。日記なんて絶対につけない!」と(口には出さずとも)反発するのではないでしょうか。

一方で、このチャットを送ってきたのが、あなたが以前から尊敬している上司だった場合はどうでしょうか?

「尊敬する○○さんが自分にアドバイスしてくれた! 嬉しい! 早速 今日から日記をつけてみよう!」と素直に思うのではないでしょうか。

このように、言葉というのは、誰に対しても同じ効果をもたらすものではありません。同じ言葉でも、「誰が言うか」によって受け取り方が大きく変わるのです。

書き手と読み手の間にある「心理的な壁」

言葉の効果というのは、唯一絶対ではなく、書き手と読み手の関係性の中で決まります。

信頼していない相手や、嫌いな相手から何か指示されたとき  
 
心を開きにくい/言葉を受け入れにくい/聞く耳を持ちにくい
 
 
信頼している相手や、尊敬している相手から何か指示されたとき  
 
心を開きやすい/言葉を受け入れやすい/聞く耳を持ちやすい
 

逆に考えましょう。あなたが伝える側に回ったとき、あなた自身が相手から信頼・尊敬されていれば、相手があなたの言葉(指示、意見、提案、助言など)を受け入れる確率は高まります。

一方で、あなたが読む人から信頼されていなかったり、毛嫌いされていたりした場合、あなたの言葉が読む人に受け入れられる確率は下がります。

つまり、書き方や伝え方うんぬん以前の問題として、自分と相手の間にある「心理的な壁」の高低が、伝え方に影響を与えているというわけです。

それゆえ、私たちは書き方のスキルを磨くと同時に、自分自身の「人間力」を高めていかなければいけないのです。

「人を動かす文章」を書くために大切なこと

「この人は信用できる」「この人は尊敬できる」——あなたが読む人からそう思われているなら、書き方が多少ぎこちなくても、あなたの文章(文意)は読む人に刺さるでしょう。これが「人間力」が高い状態です。

「人間力」は「信用&尊敬の貯金」で測ることができます。

たとえば、あなたが日ごろから——「何事も誠実に対応する」「意欲的に仕事をする」「思いやりを持って人と接する」「人の話をよく聞く」「人のために行動する」「人に興味・関心をもつ」「しっかり挨拶をする」「人のことをよく褒める」「心をオープンにする」「謙虚さを忘れない」——といったことをしていれば、あなたの「信用&尊敬の貯金」はどんどん貯まっていくはずです。

一方で、あなたが日ごろから——「人の悪口を言う」「人に嫌味を言う」「愛想が悪い」「自慢話が多い」「人の話を聞かない」「自分勝手なふるまいに終始する」「態度が傲慢」「偉ぶる」「人の否定・批判ばかりする」「人を軽んずる」「人を無視する」「敵意を剥き出しにする」——といったことばかりしていると、いざというときに、相手に言葉を受け入れてもらいにくくなります。「信用や尊敬」がまったく貯まっていかないからです。

「自分のこと」や「自分の言葉」を受け入れてもらいたければ、まずは自分から心を開いて、「相手のこと」や「相手の言葉」を受け入れていく必要があります。文章のパワーを高められるかどうかは、書き手自身のふだんの言動にかかっているのです。


山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書は『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術――「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか25冊以上。

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