『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして3000件以上の取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所主宰。出版社で編集者・記者を務めたのちに独立。これまでライターとして3000件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「書かずにうまくなる段取り文章術」「論理的に伝わる文章の書き方」「好意と信頼を獲得するメール文章術」「すらすら書ける文章テンプレート活用法」等、その日から使える実践的ノウハウを提供。また、2016年より中国の5大都市で「SuperWriter養成講座」を定期開催中。

著書に『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(共に日本実業出版社)ほか多数。文章作成の本質をとらえたノウハウは言語の壁を超えて高く評価されており、中国、台湾、韓国など海外でも翻訳されている。

文章がスラスラ書けるようになる「情報収集アンテナ活用法」

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2022/09/07 10:38

(photo by Chris Lawton/Unsplash)

一生モノのスキルになる!
『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法  <連載第55回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に精通する山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は「情報収集アンテナ活用法」について。

脳の仕組みを文章作成に活かす!?

「文章を書こうとしても、なかなか筆が進まない」「中身のない文章ばかり書いてしまう」という悩みを持つ人の中には、情報収集不足の人が少なくありません。情報がなければ文章は書けない。これは当然のことです。

一方、文章を書くことが得意な人ほど情報収集を得意としています。彼らに共通する特徴に「ふだんから上手に情報収集アンテナを張っている」ことが挙げられます。

「欲しい情報」を意識することによって、頭の中に情報収集アンテナが張られます。その結果、文章作成に必要な情報が次から次へと吸い寄せられてくるのです。

この脳のメカニズムは脳科学では「RAS(脳幹網様体賦活系)」、心理学では「カラーバス効果」で説明がつきます。平たく言うと、人は「自分にとって必要な情報(=自分が意識している情報)だけを脳にインプットするシステム」を持っているのです。

書く材料を効率よく集めるには?

たとえば、女性は妊娠すると、急に自分の周りに赤ちゃんが増えた、と思うそうです。「世の中にこんなにたくさんの赤ちゃんがいたなんて!」と驚く人もいるようで、同時に、産婦人科やベビー用品店、マタニティグッズ、保育園……など、“妊婦さん”や“赤ちゃん”に関連する情報が次々と目に飛び込んできます。

なぜ、このような変化が起きるかというと、妊娠したことで、頭の中に“出産”“赤ちゃん”というテーマの「情報収集アンテナ」が張られるからです。

妊娠前 情報収集アンテナが張られていない
       → “出産”や“赤ちゃん”情報にほとんど気づかない

 

妊娠後 情報収集アンテナが張られている
       → “出産”や“赤ちゃん”情報が次々と引き寄せられる

 

能動的に情報収集アンテナを張ろう

能動的に張るアンテナは、自分への「問い」ともいえます。頭の中に「問い」をもつことで、脳の情報収集スイッチがONになるのです。

【目的:「1日30分でできる副業」について書きたい】
「1日30分でできる副業はないかな?」とアンテナを張る
  →短時間でできる副業の情報が集まる

【目的:「健康にいい発酵食品」について書きたい】
「健康にいい発酵食品に関する情報はないかな?」とアンテナを張る
  →健康にいい発酵食品に関する情報が集まる

【目的:「株式投資信託」について書きたい】
「株式投資信託に関する情報はないかな?」とアンテナを張る
  →株式投資信託に関する情報が集まる

意識するだけでも情報収集アンテナは張られますが、アンテナ感度をより高めたい場合は、ノートや手帳に書き出すことをオススメします。また、書き出した言葉を1日1回、読み上げるなどすると、アンテナ感度がさらに高まります。

情報収集アンテナを張ることで得られる効果

情報収集アンテナを張ることによって「気づく力」が高まります。たとえば、「笑える自虐エピソードはないかな?」とアンテナを張っていれば、メガネをかけていることに気づかずに顔を洗ってしまったとき、「これはネタになる!」と気づくでしょう。

また、アンテナを張ったその瞬間から、その人自身の行動も変化します。たとえば、「大谷翔平選手のメンタルはなぜ強いのか?」というアンテナを張っている人は、自然とインターネットの検索窓に「大谷翔平 メンタル 強い」と打ち込んでいたりするものです。

あるいは、わざわざ「大谷選手の試合」をテレビで観たり、周囲にいる野球好きの友人に「大谷選手のメンタルはなぜ強いの?」と質問したり、積極的に書店に足を運んで、大谷選手について書かれた本や雑誌を探したりもするでしょう。

冗談ではなく、街を歩きながら(大谷選手とは無関係な)「大谷医院」という看板に思わず目が向いてしまうこともあります。

くり返しになりますが、能動的に情報収集アンテナを張ることによって、そのアンテナに関係する情報がどんどん舞い込んでくるようになります。

もしもあなたが文章を書けずに苦労しているなら、まずは自分が扱う文章のテーマに関する情報収集アンテナを張ってみましょう。書くために必要な材料を効率良く手元に集めることができるようになります。


山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書は『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(共に日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術――「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか25冊以上。

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そもそも文章ってどう書けばいいんですか?

「文章を書くことがストレス」「書くのに時間がかかりすぎる」「そもそも頭のなかにあることを文章にできない」……本書はそうした「文章アレルギー」のある人たちに、マンガを織り交ぜながら、わかりやすく文章の書き方をレクチャーしていきます。

著者:山口拓朗

価格:¥1,400-(税別)

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