日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当？」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
「鎌倉殿の13人」に登場する千葉常胤と亥鼻城
2022/03/28 10:02
(photo by show999/Adobe stock)
「鎌倉殿の13人」で、多くの手勢を率いて源頼朝軍に合流した千葉常胤と上総広常。この2人は同族で、桓武平氏の重鎮として今の千葉県に大きな勢力を築いていた。ネタバレをいえぱ、上総広常は後に頼朝の命を受けた梶原景時に暗殺されて上総氏は衰退する。
一方、その後は登場回数の少ない千葉常胤だが、上総広常の所領の大部分を受け継ぎ、さらに奥州攻めで活躍して奥州各地に広大な所領を賜った。以後千葉一族は奥州で広がり、現在の名字ランキングをみても、岩手県で4位、宮城県で6位となっているなど東北各地に集中している。常胤はこれら千葉一族の祖となった人物である。
この千葉氏の本拠が下総国千葉荘(現在の千葉市)で、戦国時代まで同地を支配した。常胤の6人の子は嫡男の胤正が千葉氏を継いだ他、二男師常は相馬氏、三男胤盛は武石氏、四男胤信は大須賀氏、五男胤通は国分氏、六男胤頼は東(とう)氏の祖となり、一族合わせて千葉六党といわれた。
常胤の居城は亥鼻城といい、現在の亥鼻公園の付近。城址には城を模した郷土博物館が建てられており、これを見ると鎌倉時代からこうした城があったように錯覚するが、天守閣が誕生したのは戦国時代末期のことで、当時はこんな立派な城はなかった。
城の前には弓を引く千葉常胤の像がある。
