人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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報国寺の竹の庭

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2022/01/24 09:24

宝戒寺からさらに東に1キロほど行った鎌倉市浄明寺に報国寺がある。この寺は南北朝時代の建武元年(1334)に天岸慧広(てんがんえこう)が開山して創建されたと伝えられ、開基は足利尊氏の祖父家時。室町時代には足利氏や上杉氏の菩提寺として栄えた。

従って「鎌倉殿の13人」や北条氏とは関係ないが、鎌倉市東部方面に行ったときには足を延ばしたい寺の1つである。

というのも、報国寺は「竹の寺」として知られ、境内にある孟宗竹の竹林が有名。規模は小さいが、2000本の孟宗竹は美しい。「ミシュラン・グリーンガイド」でも三つ星がつけられた数少ない寺の1つである。なお、竹の庭の一角には茶席「休耕庵」があり、抹茶と茶菓子が供されている(拝観料とは別料金)。

報国寺の見どころはもう1つ。室町時代中期、第4代鎌倉公方足利持氏は室町幕府に叛いて乱を起こし、鎮圧された(永享の乱)。持氏は瑞泉寺塔頭の永安寺で、嫡子義久は菩堤寺報国寺で自害して、鎌倉公方は滅亡した。義久の享年は10歳、14歳、17歳と3説ありはっきりしない。

報国寺の境内奥にある岩肌をくりぬいた平地の少ない鎌倉特有の横穴式墳墓が、開基足利家時や自刃した義久らの墓である。

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