人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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北条義時の「の」

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2022/01/11 09:17

9日から始まったNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。源平合戦から鎌倉時代初期を描く群像劇だ。実は、この時代は「姓」中心の時代から「名字」中心の時代への変革期でもあった。

平安時代以前は、「源」「平」「藤原」「橘」「菅原」といった「姓」を使用する人達が活躍する時代で、こうした人物は「みなもと の よりとも」「すがわら の みちざね」のように姓名間に「の」を入れて名乗る。

一方、鎌倉時代以降は、「足利尊氏」「武田信玄」「徳川家康」のように名字を使う時代で、名字と名前の間には「の」は入れない。歴史上の人物の名前はこうやって「姓」と「名字」を区別している。

ではドラマの舞台となっている、源平争乱から鎌倉初期にかけてはどうかというと、源頼朝、平清盛のように「姓」を使う人達と、北条義時、三浦義澄のように「名字」を使う人が混在している時代であった。そのため、姓には「の」を入れ名字には「の」を入れないという厳密な決まりはなく、名字を名乗りながら姓のように「の」を入れる人もいる、という時代だった。

これまでのドラマではこうしたことには目をつぶって、「姓」にのみ「の」を入れてわかりやすくしていたのだが、「鎌倉殿の13人」では時代考証家の意見を採用して名字を名乗っている北条義時にも「ほうじょう の よしとき」と「の」を入れて名乗らせている。正確ではあるのだが、ややわかりづらい。

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