『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして3000件以上の取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所主宰。出版社で編集者・記者を務めたのちに独立。これまでライターとして3000件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「書かずにうまくなる段取り文章術」「論理的に伝わる文章の書き方」「好意と信頼を獲得するメール文章術」「すらすら書ける文章テンプレート活用法」等、その日から使える実践的ノウハウを提供。また、2016年より中国の5大都市で「SuperWriter養成講座」を定期開催中。

著書に『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(共に日本実業出版社)ほか多数。文章作成の本質をとらえたノウハウは言語の壁を超えて高く評価されており、中国、台湾、韓国など海外でも翻訳されている。

「は」か「が」で悩んだ時の3つの使い分け基準

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2022/02/04 14:48

(Photo by sixteen miles/Unsplash)

一生モノのスキルになる! 『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法<連載第48回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に関する著書も多い山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は、使う頻度の高い助詞「は」と「が」の使い分け方について。

「既知の情報」か? 「未知の情報」か?

主語のあとに用いる助詞の「は」と「が」。両者の使い分けで迷った経験がある人も多いでしょう。「は」と「が」の使い分けには、いくつかのポイントがあります。

1つめは、主格となる名詞が既知の情報(=すでにしていること/わかっていること)なのか、未知の情報(=知らないこと/わかっていないこと)なのか、その違いによる使い分けです。

<例文1:既知の情報の場合>
小林さん学生です。

<例文2:未知の情報の場合>
小林さん学生です。

例文1は、書き手が小林さんのことを知っている状態(=既知の情報)です。そのため、助詞に「は」を用いました。一方、例文2は、学生が誰であるのか知らない状態(=未知の情報)なので、助詞には「が」を用いました。

少し別の角度から説明をしましょう。例文1は「小林さん(という既知の人)の立場は何ですか?」の答えであり、例文2は「学生(未知の人)はどなたですか?」の答えです。このように、文章の裏に隠れている質問を考えてみると、その文章の主格が「既知の情報」か「未知の情報」か、を見極めることができます。

ちなみに、結果的に例文1は述語(「学生です」)を、例文2は主語(「小林さんが」)を強調する文章になっています。どちらも、“読者が知りたい情報”に光を当てた文章と言えます。

「対比」か? 「排他」か?

2つめは、その文章が「対比」を表すものなのか、「排他」を表すものなのか、その違いで使い分ける方法です。対比の意味なら「は」を、排他の意味なら「が」を使います。

<例文3>
山本君文化祭委員長で、清水君生徒会長だ。

<例文4>
清水くん生徒会長だ。

例文3は、清水君と山本君を対比しているので、助詞に「は」を用いています。一方で例文4の場合は、“(他の誰でもなく)清水くんが生徒会長である”という、清水くん以外を履い排他するという意味で「が」を用いています。

「判断文」か? 「現象文」か?

3つめは、「判断文」か「現象文」かの違いによる使い分けです。判断文とは、書き手の主観に基づいて判断を加えて表現する文章のことです。判断文の主格には「は」を用います。

一方、現象文とは、書き手の主観に基づく判断を避け、ありのままのの現象(出来事、状態など)を表現する文章のことです。現象文の主格には「が」を用います。

<例文5>
お酒苦手だ。

<例文6>
お酒運ばれてくる。

例文3は書き手自身の「苦手である」という判断を含む文章であり、例文4は目の前の現象をありのままに表現した文章です。書き手の主観的な意見や考えを含む時は判断文として書き、誰の目にも明らかな事実を記すときは現象文として書きます。

もっとも、本稿でお伝えした「は」と「が」の使い分け基準は “絶対のルール”ではありません。「は」と「が」で迷ったときは、これらの基準を参考にしながら、ニュアンスも含めてどちらがその文章にふさわしいか、丁寧に比較検討しましょう。「この助詞だとしっくりこない」という違和感に気づくセンスを磨くことが肝心です。

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そもそも文章ってどう書けばいいんですか?

「文章を書くことがストレス」「書くのに時間がかかりすぎる」「そもそも頭のなかにあることを文章にできない」……本書はそうした「文章アレルギー」のある人たちに、マンガを織り交ぜながら、わかりやすく文章の書き方をレクチャーしていきます。

著者:山口拓朗

価格:¥1,400-(税別)

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