『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして3000件以上の取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所主宰。出版社で編集者・記者を務めたのちに独立。これまでライターとして3000件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「書かずにうまくなる段取り文章術」「論理的に伝わる文章の書き方」「好意と信頼を獲得するメール文章術」「すらすら書ける文章テンプレート活用法」等、その日から使える実践的ノウハウを提供。また、2016年より中国の5大都市で「SuperWriter養成講座」を定期開催中。

著書に『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(共に日本実業出版社)ほか多数。文章作成の本質をとらえたノウハウは言語の壁を超えて高く評価されており、中国、台湾、韓国など海外でも翻訳されている。

「夏休みの作文」があっという間に書けてしまう秘策

このエントリーをはてなブックマークに追加

2021/08/04 16:55

(Photo by AnnieSpratt on Unsplash)

一生モノのスキルになる! 『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法<連載第42回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に関する著書も多い山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は、夏休みの宿題を上手に書けるようになる秘訣について。

作文が苦手な原因は?

夏休みの手ごわい宿題といえば、作文。なかなか手が進まず、困ったり焦ったりしているお子さんも多いのではないでしょうか。そんな子どもに向かって「何をグズグズしているの! 早く書いちゃいなさい!」と怒鳴り声を上げても仕方ありません。おそらく本人も、書きたいけど書けなくて困っているのでしょう。

子どもの作文能力を飛躍的に伸ばす方法があります。それは「自問自答」です。自問自答とは、自分に質問をして、その質問に自分で答えることです。自問自答ができるようになると、その子どもの作文能力はグングン伸びていきます。

文章には「自問自答」が欠かせない

親御さんの中には、「作文を書くときに自問自答なんて必要だったっけ?」と首を傾げる人もいるでしょう。たしかに、学校教育で「作文を書くときは自問自答しましょう」と教わった人は少数かもしれません。

しかし、自覚していないだけで、作文を書くすべての人が自問自答をしています。このことに例外はありません。

今日はお友だちのかぞくといっしょにバーベキューをしました。

たとえば、子どもが、この文章を書いたとします。そのとき、子どもは「今日、わたしは何をした?」と自分に質問をしているのです。その質問に対して「お友だちのかぞくといっしょにバーベキューをした」と答えた。だから、この文章を書くことができたのです。本人が意識する・しないにかかわらず、文章の裏には、必ず自問自答があるのです。

バーベキューの作文をこってり書くなら?

たとえば、先ほどのバーベキューの文章も、以下のような自問自答をくり返すことで、作文の素材(=情報)をどんどん手元に集めていくことができます。

自問:バーベキューの何が楽しかった?
自答:炭に火をつけるのも楽しかったし、みんなでお肉を焼くのも楽しかった。

自問:一番おいしかった食べ物は?
自答:牛のカルビー! それと、デザートに焼いたマシュマロもおいしかった。

自問:何か困ったことや失敗したことはあった?
自答:トウモロコシを焼いているときに目を離してしまって、気がついたら、片側半分が真っ黒に焦げてしまった。

たった3回の自問自答で、興味深い素材が引き出されました。質問に答えたもの(=自答)は、すべて作文の素材です。このまま自問自答を続けていけば、さらに魅力的な作文になりそうな気がしませんか?

親子インタビューをしよう!

とはいえ、年齢にもよりますが、お子さんによっては「自問自答」がどういうものかわかっていない子もいるでしょう。そうなると「自問自答しなさい」とアドバイスしたところで、やり方がわからず、固まってしまうかもしれません。

そこで、親御さんの出番です。子どもの自問自答を手伝ってあげてください。オススメしたいのが「親子インタビュー」です。

たとえば、海水浴の思い出について作文を書く子どもには、以下のようなインタビューをしてみてください。

【子どもへの質問例】
・どこの海水浴場に行った?
・どんな海(浜)だった?
・海や浜で何をして遊んだ?
・何が一番楽しかった?
・何かおもしろいエピソードはあった?
・何か失敗したエピソードはあった?
・誰と一緒に行ったの?
・お昼やおやつは何を食べた?
・日焼けした?
・また海水浴に行きたい?

このように、さまざまな質問をしていきます。子どもは自分で質問を考えるのは苦手でも、親の質問には答えようとします。一つひとつの質問に答えていくことで、作文の材料がどんどん手元に集まります。親の質問に答えることで、作文の下書きをしている、とも言えます。

インタビューがのってきたら「深掘り質問」せよ!

質問に対して、子どもが楽しそうに答えたときや、たくさん話をしてくれたときはチャンスです。その話の中から、作文にするとおもしろくなりそうな事柄やエピソードを拾い上げて「深掘り質問」することで、さらに魅力的な素材を集めることができます。

料理と作文は、まったく同じです。食材がなければ料理は作れませんが、作文も材料がなければ作れません。「自問自答=材料集め」なのです。

親子インタビューをすることで、子どもは効率良く作文の材料を手にすることができます。すると、子ども自身の内側から「書きたい!」「書ける!」という気持ちが自然とわいてくるのです。そう、カギを握っているのは、子どもではなく、子どもの親や周囲にいる大人にほかなりません。作文で苦戦している子どもと一緒に親子インタビューを楽しみましょう。

このエントリーをはてなブックマークに追加

そもそも文章ってどう書けばいいんですか?

「文章を書くことがストレス」「書くのに時間がかかりすぎる」「そもそも頭のなかにあることを文章にできない」……本書はそうした「文章アレルギー」のある人たちに、マンガを織り交ぜながら、わかりやすく文章の書き方をレクチャーしていきます。

著者:山口拓朗

価格:¥1,400-(税別)

オンラインストアで購入する

テキスト採用など、大量・一括購入に関するご質問・ご注文は、
弊社営業部(TEL:03-3268-5161)までお問い合わせください。

ページのトップへ